ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「バラ・バラ」レインボウズ(昭和42年)

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流行時期(いつ流行った?)

 レインボウズさんの「バラ・バラ」は、昭和42年(1967年)にヒットしました。『レコードマンスリー』のランキングによると、1月に発売された「バラ・バラ」が最もヒットしたのは3月になります。

 

集計日付 順位
昭和42年2月 4位
昭和42年3月 1位
昭和42年4月 3位
昭和42年5月 4位
昭和42年6月 11位
昭和42年7月 20位

 

 半年間もランクインしており、なおかつ首位も獲得した作品ですので、当時は相当ヒットしたように感じます。

 

 売上枚数が分からないので、順位に点数をつけてヒットチャートを集計してみたりしていますが、昭和42年に最もヒットした洋楽はウォーカー・ブラザーズさんの「孤独の太陽」や「ダンス天国」を抑えて、この「バラ・バラ」が洋楽年間1位に該当する結果になりました。

 

 ・・・しかし、「バラ・バラ」はどこが魅力で支持されたのかが分かりにくい作品です。

 

「バラ・バラ」はドイツのヒット曲

 「バラ・バラ」は、なぜ流行ったのか分からない作品のうちの1つです。

 

 流行とは無関係に登場した「バラ・バラ」は、ドイツのグループのレインボウズさんの作品です。

 

 ヨーロッパの国の音楽では、フランス、イタリアが日本でも人気です。この2つの国の音楽は、昭和40年代中ごろにブームとなるくらいの人気を獲得しました。

 この2国の音楽は別格で、シャンソンのフランス、カンツォーネのイタリアと、民族音楽の名称の認知度も高いと感じます。

 

 しかし、ドイツについては情報がほとんど伝わってきません。「真夜中のブルース」(昭和33年)で有名な、ベルト・ケンプフェルト楽団さんの作品くらいしか思いつきません。

 

 ドイツの音楽が日本にとってはなじみが薄いにも関わらず、「バラ・バラ」は昭和42年の日本でヒットしました。

 

 「バラ・バラ」は英語で作詞されている作品です。レインボウズというグループ名も英語のため、英語圏の歌と思ってしまいます。

 聞き覚えのある英語のため、ドイツの作品という認識は無かったのではないか?と感じます。ややなまりを感じる発音のため、米国のヒット曲に慣れた日本人の耳には、「イギリスの作品かな?」と捉えられたのかも知れません。

 

聴いていて楽しい作品

 「バラ・バラ」は、歌い出しの“マィベビーバラバラ”というワンフレーズが延々と繰り返され、サビになると、そのフレーズが“バラバラ”に変化するだけの歌詞です。

 

 どちらのフレーズも音の高さを変えて繰り返していますが、この2つだけで曲が作られている事が「バラ・バラ」の特徴です。

 

 歌詞だけで考えると、よくこれだけで「面白い!レコード化しよう!」となったなぁ、と感心してしまいます。

 

 「バラ・バラ」が登場したのは、アメリカでは反戦フォークが支持されていた時期です。国は違えど、もしも受け止められ方が少しでも違うと、「音楽を何だと思っているんだ!」と怒られてしまいそうな、ナンセンスさを備えた作品です。

 

 「バラ・バラ」が人気となったのは、歌詞以外の部分にあると感じます。

 

音楽を楽しんでいる雰囲気が伝わる作品

 1度聞けば覚える事ができるくらい歌詞が単純ですので、「バラ・バラ」を初めて耳にした方々の耳に残ったと思われます。しかし、それだけではレコードを買う動機にはなかなか至らないと思います。

 

 「バラ・バラ」がロングヒットとなる結果をもたらしたのは、アドリブ感のある前奏や間奏であると感じます。

 

 

 エレキギターの弦を思い切り弾いたような音と、馬のいななきのような音でこの曲が始まります。そして散々“バラバラ”と歌い続けた後に、「フー!」と言って、エレキギターの間奏が始まります。

 

 間奏のあいだも、グループのメンバーが発する意味の分からない叫び声が聞こえてきますが、この間奏で連想されるのは、「バラ・バラ」がヒットした後に登場する、ザ・タイガースさんの「シーサイド・バウンド」の間奏です。

 おそらく、「バラ・バラ」を意識して演出している、と感じます。

 

 間奏の音源を聴いて感じるのは、新しい楽器であるエレキギターが表現できる音楽に、若い男の子たちが夢中になって、自分の思うままにギターを弾いて、好きなように叫んだりして楽しく盛り上がっている光景です。

 

“バラバラ”は日本でもなじみのある言葉

 「バラ・バラ」というタイトルが、日本人になじみのあるフレーズだった事もヒットの要因だったと考えられます。

 

 訳の分からない歌が売れ出して、そのレコードのタイトルが「バラ・バラ」だったとしたら、おそらく多くの人が、日本語でいうバラバラと解釈されたと思います。

 

 原題「Balla Balla」をカナ表記していますが、もともとの意味が分かりません。“Balla”がドイツ語なのか、ドイツでポピュラーな女の子の名前なのか、フランス語の“Belle”をドイツ語で言ったものなのか、情報が少なすぎて全く見当がつきません。

 

 

 バンドプロデューサーの分析では、「バラ・バラ」はAメジャー(イ長調)です。“バンドを組んだ若者が純粋にエレキギターで音楽を楽しんでいる様子”が表現できている作品だから人気になった作品であると感じます。

 エレキギターのアドリブ演奏も、歌唱では表現できないスピート感が生まれているので、単純な繰り返しの作品ながらも、聴いていて楽しいです。

 

 

曲情報

1967年 年間2位(洋楽・邦楽ポピュラー部門)

 

 

レコード

 発売元:日本コロムビア株式会社

 品番:LL-1012-C

 A面

  「バラ・バラ」

  原題:BALLA BALLA

  演奏時間:2分

 

 B面

  「ジュ・ジュ・ハンド」

  原題:JU JU HAND

  演奏時間:2分

 

 

参考資料

 「バラ・バラ」レコードジャケット

 『レコードマンスリー』日本レコード振興

 「バンド・プロデューサー」