ヒット曲けんきゅうしつ

流行した音楽を探して、色々考えるブログ

「バス・ストップ」平浩二(昭和47年)

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 「バス・ストップ」はテイチクレコードさんから発売された歌謡曲です。

 

 ビクターさんやコロムビアさんと、戦前から営業されているレコード会社では、曲のジャンルをタイトルの上やレコードに記載する風習がありましたが、テイチクさんもこの作品を歌謡曲として発売されました。

 

 昭和47年9月に発売されたこの作品は、12月から翌年の1月にかけてヒットしました。

 

 “歌謡曲”と表現すると、演歌と同類で、日本固有の文化から生まれた音楽と受け止めてしまいがちですが、実は定義が違うようです。

 歌謡曲は、海外の音楽文化を取り入れて、日本で作られた作品の事を指すようです。

 

 ワルツ、マンボ、ロックンロール、カリプソ、ツイスト、シャンソン、カンツォーネ、サーフィンサウンドと、海外のリズムや音楽表現が次々と輸入されました。その多様な音楽性を解釈して、日本の流行歌に取り入れたため、表現の幅が広がりました。

 

 昭和40年代中ごろは、外来音楽の要素を備えた歌謡曲がたくさん登場した時期だったと感じます。「バス・ストップ」を聴いても日本人が共感を覚えやすい作曲、編曲がされていると感じます。

 

 「バス・ストップ」はスロー・ロックロッカ・バラードと呼ばれる外来のリズムが刻まれています。一小節を♪ツツツ、タツツ×2と3連符で刻むのですが、このリズムは歌謡曲では非常に有名なリズムです。

 

 「笑って許して」(昭和45年)や「おふくろさん」(昭和46年)、「津軽海峡・冬景色」(昭和52年)も、このリズムで作曲されています。

 

 

 歌詞で気になるところは、バス停で乗車する便が来るのを待っている際の心情だけが綴られている事です。

 

 別れる事になり、恋人が最後の見送りに来てくれているみたいです。しかし、心ではまだ好きと想っているため、やさしくされると余計に辛くなる、という心理が描写がされています。

 

 同じような場面を描く「別れの朝」が同年にヒットしていました。去っていくのは彼、主人公の女性がどのようにふるまったか、描写の違いはありますが、どちらの女性も心境は一緒だと感じます。

 

 また昭和47年には、乗ってしまうと長距離で離ればなれになる事が決まっている、最後の別れの場面として駅やバス停などを演出に用いる作品が多く登場しました。「夜明けの停車場」、「北国行きで」など。また、たどり着いた先での心境を描く「終着駅」もヒットしました。

 

 駅が多いかもしれませんが、別れ間際、直後の心情をドラマチックに表現する手法として、当時もてはやされていたようです。

 

 バンドプロデューサーの分析では、「バス・ストップ」はD♭メジャー(変ニ長調)。サビのフレーズは並行調のマイナーに転調しているように感じる箇所もあり、寂しさも感じる作品です。

 

 

曲情報

 発売元:テイチク株式会社

 品番:SN-1270

 A面

  「バス・ストップ」

  演奏時間:3分28秒

  テイチク・オーケストラ

 

 B面

  「涙になるばかり」

  演奏時間:2分46秒

  テイチク・オーケストラ

 

 製作担当:山本 孝

 録音担当:秋葉 武正

 

 ©1972年 株式会社 日音

 

参考資料

 「バス・ストップ」レコードジャケット

 『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン

 『全音歌謡曲大全集4』全音楽譜出版社

 「you大樹」オリコン

 「バンドプロデューサー5」