ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。戦前戦中をけんきゅうちゅう。

「レッド・リヴァー・ロック」ジョニーとハリケーンズ(昭和35年)

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  日本でロックン・ロールが広く知れ渡ったのは、昭和31年にエルヴィス・プレスリーさんの「ハート・ブレーク・ホテル」が登場してからです。

 

 『ダンスと音楽』のランキングには、昭和30年にビル・ヘイリーと彼のコメッツさんの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」が流行した記録が残っていますが、ランキングの解説欄のニュアンスは、「映画『暴力教室』の主題曲であり、映画からヒット曲した作品である」という認識が読み取れます。

 

 当時、新しく誕生したロックンロールは、日本では和訳して歌うロカビリー歌手によって人気となっていました。

 

 "洋楽に日本語詞をつけて歌うスタイル”のこの分野では、江利チエミさんが活躍されていました。しかし、ロックンロールの登場と重なって、日本語カバー曲を歌う次世代の若手歌手が多数登場しました。

 後の昭和30年代中期のカバー・ポップスの発展へ橋渡しをしたように感じます。

 

 ロックンロール発祥のアメリカでは、この新しい音楽表現を活用して、過去の楽曲をロックンロール風にアレンジする試みをした作品が登場しました。

 

 昭和35年にヒットした「レッド・リヴァー・ロック」も、アメリカ人にとって、古くから親しまれている楽曲をアレンジした作品です。

 

『ダンスと音楽』のランキング推移

昭和35年1月 12位
昭和35年2月 13位
昭和35年3月 6位
昭和35年4月 5位
昭和35年5月 9位
昭和35年6月 12位
昭和35年7月 19位

 

 昭和35年の3、4月にかけてヒットしたようです。上位に7ヶ月もランクインする、息の長い作品ですので、当時どこかで耳にされたことがある方も多かったと思われます。

 

 

 「レッド・リヴァー・ロック」は、歌詞の無い演奏曲です。オルガンがメインですが、リーダーのジョニー・パリスさんが演奏するサックスの音色も心地よい作品です。

 

 サックスやオルガンの音色は、ロックンロールと結びつきにくいため、聴いた印象では、ロックっぽさを感じません。どちらかと言うと、サックスの演奏は、数年後にブームとなるツイストの音楽を聴いたときの印象に似ています。

 

 演奏のみの作品で、レコードジャケットに記載されている“ロックンロールの強烈さ”をほとんど感じません。

 おそらく、当時もロックンロールと感じる人は少なく、どちらかと言うと、哀愁を感じる映画主題曲と対象的に、ポップで明るいイージーリスニング作品として解釈されたかもしれません。

 

 原曲は、古くから西部に伝わるカウボーイ・ソングの「Red River Valley」です。いつの時代に流行った歌か分かりませんが、イメージでは、レコードが存在しない西部劇の時代に口頭伝承で親しまれていたメロディかと思われます。

 

 バンドプロデューサーの分析では、「レッド・リヴァー・ロック」はCメジャー(ハ長調)。サックスの演奏がロックさをアピールしていますが、オルガンが奏でるシンプルで素朴なメロディが勝る、明るく楽しい作品です。

 

曲情報

 発売元:キング・レコード株式会社

 品番:HIT-119

 A面

  「レッド・リヴァー・ロック」

  英題:RED RIVER ROCK

 

 B面

  「バックアイ」

  英題:BUCKEYE

 

 (ワーウィックのマスターによる)

 Recorded by WARWICK, U.S.A

 

参考資料

 「レッド・リヴァー・ロック」レコードジャケット

 『ダンスと音楽』ダンスと音楽社

 「バンドプロデューサー5」