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「東京ドドンパ娘」渡辺マリ(昭和36年)

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「東京ドドンパ娘」渡辺マリ

流行時期(いつ流行った?)

  渡辺マリさんの「東京ドドンパ娘」は、昭和36年(1961年)にヒットしました。

 

 『ミュージック・マンスリー』の歌謡曲部門のランキングによると、3月から6月にかけて流行したようです。

 

集計日付 順位
昭和36年2月 9位
昭和36年3月 3位
昭和36年4月 1位
昭和36年5月 1位
昭和36年6月 4位
昭和36年7月 9位

※『ミュージック・マンスリー』誌のランキング推移

 

 4、5月は首位を獲得していますので、かなりヒットした作品と考えらます。

 

 

 当時の人気ぶりから、売り上げた枚数も多いと考えられますが、残念ながら知名度が高めでレコードに付加価値が付いているようで、オークションではやや高値で取引されている作品です(>_<)。

 

 

同時期に流行った曲(昭和36年3月~6月)

 邦楽では、前年に「潮来笠」でデビューした橋幸夫さんが人気となり、「木曾ぶし三度笠」が首位となっています。「東京ドドンパ娘」が首位となった後は、ダーク・ダックスさんの「北上夜曲」が首位となっています。 

 

 戦前歌謡のリバイバルブームがあった時期で、佐川ミツオさんの「無情の夢」森山加代子さんの「じんじろげ」井上ひろしさんの「別れの磯千鳥」がヒットしています。

 2月に事故で急死された赤木圭一郎さんを追悼するかのように「流転」もヒットしています。こちらも戦前流行歌のカバー曲です。

 

 石原裕次郎さん、牧村旬子さんのデュエット曲「銀座の恋の物語」もヒットし始めた時期で、洋楽ではジョニー・ディアフィールドさんの「悲しき少年兵」ニール・セダカさんの「カレンダー・ガール」がヒットしています。

 

 


Dodonpa

※YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 Victor Entertainment, Inc.の動画

 

 

ポップスか歌謡曲か

 現在の感覚で聴くと、「東京ドドンパ娘」は歌謡曲に属する作品のように感じてしまいます。しかし、当時の流行のなかではポップスとして受け止められたと考えます。

 

 歌謡曲と感じてしまう理由は、やはり曲調や歌唱を聴いた印象ですが、曲のテンポが♪=141と、当時の流行歌としては早い作品であるためポップスと感じます。また、歌詞の内容も若い女性が恋にときめく心だけが歌われている事もポップスの価値観を持っていると感じます。

 

 そして、新しいリズムである"ドドンパ"をタイトルに入れて強調している点もポップス作品である受け止める事ができる理由です。

 海外で人気のリズムを次々取り入れていた時期ですので、レコード会社が「ニュー・リズムのポップス」として売り出そうとしている印象を受けます。

 

 当時のポップスと言うと、洋楽を日本語詞で歌い直したカヴァー・ポップスが主流の時代で、ザ・ピーナッツさんや森山加代子さん、ダニー飯田とパラダイス・キング(ボーカルは坂本九さん)さんが活躍されていました。

 

 ただし、「東京ドドンパ娘」は日本人が作曲した作品ですので、曲調が歌謡曲よりです。カヴァー・ポップスと歌謡曲のはざまの曲調として、割と幅広い層で注目を集めたのかも知れません。

 

ドドンパって何?

 リズムの名称で、4分の4拍子を「・、タン、タタタ、タータ」と刻んだリズムの事をドドンパと呼びます。

 

 この作品がドドンパのリズムを世に広めたようです。新しい音楽を積極的に取り入れる美空ひばりさんの「ひばりのドドンパ」も同じ年にヒットしています。翌年には北原健二さんの「若い二人」で用いられています。

 

 しかし翌年はツイストがブームとなったためか、ドドンパの流行は下火になります。そして、しばらくしてから、和田弘とマヒナスターズ、松尾和子さんの「お座敷小唄」で用いられ、歌謡曲の世界で再流行した印象を受けます。

 

 

歌詞に“東京の地名”は出て来ない

 「東京」と銘打った作品ですが、歌詞には一度も東京は出てきません。流行歌における東京の代名詞である銀座も出てきません。

 

 このように表現すると、戦後数年経ってからヒットした笠置シヅ子さんの「東京ブギウギ」(昭和23年発売)を連想してしまいます。こちらは歌詞に東京が出てきますが、東京の街並みが歌われる事はありません。

 

 どちらもタイトルが「東京+リズム名」ですが、都会では新しい音楽が流行っているというイメージを聴き手に連想させるためだったのかも知れません。

 

 そして、高峰秀子さんの「銀座カンカン娘」(昭和24年発売)のように、都会での生活を謳歌する若い女の子が主人公として描かれていますので、いわゆる都会讃歌の価値観を持つ作品であると受け止める事が出来ます。

 

 

楽曲分析

 「東京ドドンパ娘」はA♭メジャー(変イ長調)です。

 

 イントロの半音階のメロディが印象的です。ボーカルのメロディでも、所々で4つめの音が半音上がる箇所がありますが、出だしの音階が「こういう音も出てきます。」と説明をしているかのようで、違和感を覚える事はありません。

 

 メロディはどちらかと言うと、ヨナ抜き長音階寄りの作品と感じます。7つめの音が出てきますが、メロディの流れを止まらせないように、やむを得ず経過的に使用している運びとなっているように感じます。

 

 2小節のわずかな間ですが、サビの直前のフレーズは並行調のCマイナー(ハ短調)に転調している印象を受けます。

 

 

曲情報

 発売元:ビクターレコード

 品番:VS-458

 A面

  「東京ドドンパ娘」

  作詞:宮川哲夫

  作曲:鈴木庸一

  編曲:寺岡真三

  演奏時間:3分26秒

 

 B面

  「恋愛0米(ゼロメーター)」

  作詞:宮川哲夫

  作曲:鈴木庸一

  編曲:小沢直与志

  演奏時間:3分3秒

 

参考資料

 「東京ドドンパ娘」レコードジャケット

 『ミュージック・マンスリー』月刊ミュジック社

 『全音歌謡曲大全集3』全音楽譜出版社

 「バンドプロデューサー5」