
流行時期(いつ流行った?)
小林幸子さんの「おもいで酒」は、昭和54年(1979年)にヒットしました。
『レコードマンスリー』の月間ランキングによると、1月に発売されたレコードは7月にベストテン入りしています。
ヒットするまでに時間が掛かった作品です。
| 年月 | 順位 |
| 昭和54年01月 | レコード発売(B面) |
| ・・・ | ・・・ |
| 昭和54年06月 | 23位 |
| 昭和54年07月 | 6位 |
| 昭和54年08月 | 4位 |
| 昭和54年09月 | 4位 |
| 昭和54年10月 | 4位 |
| 昭和54年11月 | 10位 |
| 昭和54年12月 | 8位 |
| 昭和55年01月 | 13位 |
| 昭和55年02月 | 26位 |
注)小林幸子 - トピックの動画
「おもいで酒」は発売当初、B面でした。
誰もが初めて耳にする声の響き?
「おもいで酒」の個性は【小林幸子さんの歌唱力】と思います。
申し訳ありませんが、歌詞は「あの頃は良かった・・・」と「深酒して過去の思い出にとらわれる心境」で新しさは感じられません。
おそらくレコード発売当初は「こんな感じの歌って結構あるよね」の受け止められ方で、あまり振り向きもされずにスルーされていた?と思います。
1970年代末の時点ですでに使い古された心情と感じる【誰の人生にも存在する後悔や未練】がヒット曲に成長した理由は、小林幸子さんの歌唱力と感じます。
♪あの人~、サビのフレーズが印象に残りますが、歌いだしでも「聴いた事のない響き」を感じます。
他の歌手よりも広域の倍音?のような響きが「おもいで酒」の魅力と思います。歌詞より声の揺れに意識が傾いてしまいます。
バラードの作品で声を揺らすような歌唱はよくありますが、喉の力による空気の振動と感じています。
「おもいで酒」は喉のテクニックに加えて、口内で音を反響させて増幅しているかのような歌唱法?と想像します。(←音痴な人間の表現力・・・申し訳ありません。)
本当なら他の歌手がマネできない歌唱法を前面に出すべきでしょうが、それでは万人受けが難しい?と判断されたのか、あえて伴奏も歌唱と同じくらいの存在感で編曲されている印象です。
イントロも歌唱も記憶に残る、音の響きが特定のパートに偏らず全体のバランスが秀逸と感じます。
なぜか「酒」が注目を集めた時期
1970年代末のヒット曲に「酒」が目立ち始める印象です。
きっかけは河島英五さんの「酒と泪と男と女」(1978年)と思われます。
この作品も歌唱力が多くの人の心に響いた作品と思います。
ヒット曲の世界では「酒」というと「未練」のイメージです。
(同じお酒でも「ワイン」や「ウイスキー」、「カクテル」だと「未練」よりも「オシャレ」を連想します。日本語の不思議です。)
歌唱の個性がヒットする要因として支持されたであろうこの時期、おそらくカラオケがブームとなるくらい人気となっていたのでは?とも想像します。
参考資料
「おもいで酒」レコードジャケット
『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン
『レコード・マンスリー』日本レコード振興株式会社