流行時期(いつ流行った?)
米津玄師さんの「さよーならまたいつか!」は令和6年(2024年)にヒットしました。
4月8日に配信が開始され、オリコンストリーミングによると4月下旬から6月上旬にかけてベストテン入りしています。
ベストテン入りしていませんが主題歌となった朝ドラ『虎に翼』の放送終了後の10月上旬にランクアップしている事も気になります。
注)Kenshi Yonezu 米津玄師 公式アーティストチャンネルの動画
100年前なら現状を嘆く心理が描かれたはず
歌詞で描かれているのは【迷いなく立ち向かう心】です。
Mrs. GREEN APPLEさんも同じ視点で【前向きな気持ちを持とう!の心】を表現されていると感じますが、【あえて弱気な心理を描かない事】が「さよーならまたいつか!」の個性と思います。
世の中の常識に対して「はて?」と違和感を意思表示できる主人公の強い心に重なる歌詞です。
今の時代の価値観で見ると、申し訳ありませんが昭和初期の流行歌は「世の中がこうなってますから仕方ないですよね~」が前提で歌詞が綴られていると感じます。
(レコードを売るためには消費者の共感を得やすい言葉が必要と感じますので当然ですが・・・)
「さよーならまたいつか!」は、当時の流行歌では描かれなかった【思うようにならない世の中に対する怒り】を表現しているようにも感じます。
最近気になる傾向の「うっせえわ」(2021年)や「Habit」(2022年)、「はいよろこんで」(2024年)などと同様の【何かに対するいら立ち】の価値観に重なるかもです。
ただ「さよーならまたいつか!」が異なるのは、他の作品のように【「言いたいけど言えない!」の感情を何とかして誰かに伝えようとする】のではなく、「言えないなら誰にも言わない」と自分の心のわだかまりを他人に感じさせないような姿勢です。
何年も経ってから「流行ってたね!」と思える歌
歌いだしの「どこから春が めぐり来るのか」の歌詞に面白さを感じます。
「どこから春が」で7文字、「めぐり来るのか」で7文字。
曲が進むにつれて6文字のリズムに心地よさを感じますが、できるだけ「7文字前後に収める事を意識された作詞かも?」と感じます。
短い言葉でも俳句や短歌、都々逸など、なぜ7文字や5文字が日本人の耳に気持ちよく聞こえるのかは分かりません。
100年前の流行歌でも当たり前だった日本語のリズム感である七五調(五七調?)を意識した作詞かも?とも感じました。
相変わらず音楽に勉強不足で伝えることができませんが、「さよーならまたいつか!」は聴いていて心に残りにくく右から左に抜けていく印象です。
聴いていて「なぜかこの部分が気になる!」があれば、作品に対する印象も強くなりますが「さよーならまたいつか!」は、不思議なことにほとんどその個性を感じさせません。
歌詞で聴き手にインパクトを与える強い言葉を極力避けているように、作曲でもそういう「耳に残るような引っ掛かりを避ける事」が意識されていると思います。
こういうタイプのヒット曲は【何度耳にしてもなかなか聴き飽きない】という凄さを持っています。
後世に歌い継がれてスタンダードナンバーになる作品の予感です。
昭和の流行歌あるあるの「タイトルは覚えてないけれど、なんとなくフレーズは覚えている」も備えた作品と感じます。