ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「The Magic Key」One-T + Cool-T(2003年)

いつ流行った?

 TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、One-T + Cool-Tさんの「The Magic Key」は2003年の8月下旬から9月末にかけてヒットしています。

 

 トップテン入りした週は少なく最高順位も低めですが、ロングセラーの売れ方になっています。

 

 


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注)One-T Music の動画

 

 

 

テーマの重さをアニメで軽減?

 十数年前に投稿されたYouTube動画のコメント欄には、「これは子どもの頃に聴いた曲!、やっと見つけた!」という書き込みが多い気がします。

 

 ロシア語でのコメントが目立ちます。当時、何かの番組で放送されていたのでしょうか。

 

 もしそうだったとして、子どもの頃に聴くにしては作品のテーマが大人びている気がします。曲調もややヘビーな印象です。

 

 しかし、動画に登場するキャラは可愛くて分かりやすいデザインのため、重さが中和されていると感じます。

 

 アニメーション前半はシリアスなのに、後半にレッドカードで天国退場、それでCOOL-Tさんが生き返るという展開は面白いです。

 

 日本人の私は大人向けの主題と感じますが、この表現なら子どもの心に「面白い!」と残り続けるのは分かる気がします。

 

 表現が難しいですが、大人が作る子供の歌でも「おしりかじり虫」(2007)くらいの大人の理解は得られなくても子供には支持されるきわどさを感じます。

 

 

「The Magic Key」はエピソード3

 One-Tさんは公式サイトを開設していないので情報が少ないです・・・(>_<)。

 

 しかし今年(2022年)、One-T Music - YouTubeに「The Magic Key」の世界観を理解できる動画が投稿されています。

 

 20年近く経っても過去の作品にせず、新たな表現を加えて良さを高めようとする作者の姿勢はすごいと思います。

 

 

アニメーションバンドとは

 One-Tさんは、アニメーション映像も含めて音楽表現をされるアーティストと分かりました。

 

 聴きなれないですがこの表現するのはアニメーションバンドと呼ばれ、他にも存在しているようです。(バーチャルバンドと呼ばれる事もあるようです。)

 

 

 匿名性と捉えると1960年代以前のコロムビア・ローズさんのような覆面歌手が思い浮かびますが、そうではなく音楽表現の幅を広げるためにアニメーションを用いていると感じます。

 

 これは2000年代中頃からパソコンの技術力が向上したから可能になった表現と思います。CG(コンピュータグラフィック)がミュージックビデオに登場し始める年代です。

 

 

元祖はアーチーズ?!

 現在の日本では「アニメ+音楽」のミュージックビデオで音楽表現する事は当たり前のように感じます。

 

 YOASOBIさんやAdoさんも世界観を伝えるために、アニメーションをミュージックビデオに取り入れていると思います。(Amierさんも同じ価値観で製作されていると思います。)

 

 日本にはボーカロイドの文化もあり、自然と成立した流れなので全く意識していませんでした。これから少しずつ調べて、パソコンの技術進歩と、この音楽表現の成り立ちを整理しようと思います・・・(^^A;。

 

 

 アニメーションバンド・・・気になって調べてみると、なんとアーチーズさんが元祖と定義されているようです。

 

 しかし、アーチーズさんのヒット曲「シュガー・シュガー」(1969)のレコードジャケットの解説には、

 

ポップス・ファンの皆さんでしたら、ついこの前「バン・シャガ・ラン」というヒット曲を放ったアーチーズのことは、まだ記憶に新しいと思います。ちょうど≪第2のモンキーズ≫などといわれ、アメリカでもセンセイショナルなデビューぶりで評判になりましたが、そのアーチーズが再びすばらしいヒット・ナンバーを放ちました。それがここにお届けする「シュガー・シュガー」です。

 

 と書かれており、アニメーションバンドという表現はありません(第2のモンキーズって(苦笑))。

 

 続く解説にも一切記述されていませんが、日本では放送されなかったからかも知れません。

 

 

 最後にこの作品のイントロはチェコのバンド、Blue Effect さんが1970年代初期に発表された「Má hra」を取り入れておられます。

 


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 この時期のフランスのヒット曲には"過去の作品を今風に解釈する"という前向きな姿勢を感じます。日本で言うリバイバルブームとは解釈が異なる価値観と思いますが、新世紀が始まった頃には温故知新の価値観が高まるのかも知れません。

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「シュガー・シュガー」レコードジャケット