ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

昭和40年(1965年)のヒット曲【まとめ】

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第7回日本レコード大賞受賞曲は「柔(やわら)」美空ひばり

昭和40年はどんな年?

 ヒット曲の前に、1965年の日本ではどのような出来事があったかをまとめました。

 

主なNHKニュース速報や臨時ニュース
- 出来事 時間 内容
国内 伊豆大島大火 1/12 10:29 「大火にあった伊豆大島」
日韓国交正常化 4/3 8:59 「日韓会談三懸案まもなく仮調印」
8/14 19:30 「韓国国会は日韓条約を可決」
8/26 12:36 「ソウルに衛戌令発動」
12/11 10:17 “日韓関係案件可決成立”
私鉄スト関連 4/28 8:59 「私鉄スト関係ニュース」
4/30 6:26 「国労など公労協9組合はストを中止しました。」
東京都議会黒い霧事件 4/30 16:09 「東京都議会解散へ,自民党議員も総辞職」
山野炭鉱ガス爆発事故 6/1 15:28 「きょう午後0時40分ごろ福岡県稲築町山野炭鉱でガス爆発、1人死亡,10人が重軽傷のもよう」
15:59 「福岡稲築町山野炭鉱でガス爆発」
20:19 「山野炭鉱爆発事故で24人死亡確認」
「福岡,山野炭鉱のガス爆発事故で,これまでに24人の死亡が確認,坑内の552人のうち307人生存」―24人死亡――221人安否不明―
22:48 「山野炭鉱爆発事故(福岡)で59人の死亡確認」
22:51 「山野炭鉱爆発事故(福岡)で59人の死亡確認,177人安否不明」
宅地造成問題化 6/27 8:59 「川崎の土砂くずれ及び新幹線の土砂くずれの二件」
9:39 「川崎の土砂くずれ関係、其の後のニュース」
10:39 「川崎の土砂くずれ幼女11時間ぶりに救出される」
吉展ちゃん事件(犯人逮捕) 7/4 20:09 “吉展ちゃん事件で今夜小原に逮捕状”
20:39 “小原犯行の一部を自供”
翌01:49 “吉展ちゃんの遺体捜索はじまる”
池田勇人前首相死去 8/13 11:11 「池田前首相重体」
12:42 「池田前首相死去」
日本人ノーベル賞受賞 10/21 20:08 「朝永振一郎博士ノーベル物理学賞受賞」
新潟デザイナー誘拐殺人事件(犯人逮捕) 1/20 14:35 「新潟誘かい殺人事件,有力容疑者取り調べ,容疑者,自動車修理工」
15:49 「誘かい殺人事件容疑者山川真也取り調べ」
17:11 「誘かい殺人の容疑者を逮捕」
少年ライフル魔事件 7/29 14:29 「神奈川県大和で警官のピストル奪い逃亡」
18:30 ピストル強奪犯人東京渋谷で警官と撃ち合っています。
1955年の丸正事件(冤罪疑惑による裁判)の判決 5/22 10:19 「丸正事件の名誉棄損2弁護士に有罪の判決」
1962年の三河島事故の判決 5/27 10:29 「三河島二重衝突事故の判決公判が開かれ石田裁判長は二人の職員に執行猶予のついた禁固刑を云いわたしました」
海外 ベトナム情勢関連 1/27 12:26 「南ベトナムでクーデターか」
2/7 22:10 「南ベトナム,北ベトナムの軍事施設を攻撃」
2/19 16:35 「南ベトナムのグエン・カーン3軍司令官追放」
16:53 「南ベトナムのグエン・カーレ・グエン・カオキ両将軍逮捕」
3/2 18:17 「米南ベトナム爆撃隊北ベトナム地区を爆撃」
3/30 12:39 「サイゴンの米大使館爆破さる」
4/4 21:54 「北ベトナムで初の空中戦,米軍機撃墜される」
インドネシア情勢 1/2 16:59 「インドネシア国連脱退」
10/1 23:42 「インドネシア革命評議会壊滅か」
アルジェリア情勢 6/19 17:08 「アルジェリア陸軍首都の重要拠点に出動」
18:52 アルジェリアでクーデター ベンベラ大統領辞任か
米ソ宇宙開発競争 3/18 16:55 「ソ連2人乗りの人間衛星船打ち上げる」
3/23 23:25 「米2人乗り衛星船「ジェミニ」を打上げ」
23:33 「2人乗り衛星船「ジェミニ」軌道に乗る」
3/24 23:21 「レーンジャー9号月に命中」
4/23 20:10 「ソ連人工衛星で宇宙中継に成功」
6/3 0:16 「日本時間0時16分ジェミニ4号衛星を打上げた。」
アリューシャン地震 2/4 15:33 「アリューシャン方面にかなり大きな地震」
15:41 「アリューシャン列島沖に地震発生,太平洋岸に津波警報でる」
7/3 10:29 「アラスカで大地震,津波のおそれ」
11:04 “津波のおそれなくなる”

 

 日韓国交正常化米ソ冷戦によるベトナム戦争宇宙開発競争が印象に残ります。現在では耳にしない交通業界のストライキが報道されています。

 

 大きく報道されていた事件の犯人が逮捕された事(吉展ちゃん事件)、大規模な労働災害(山野炭鉱ガス爆発事故)や住宅地に大規模な土砂崩れが発生した事(川崎の土砂くずれ)、環太平洋での大地震(アリューシャン地震)などの報道を知った時の衝撃は、現在でも容易に想像できます。

 

 

この年のヒット曲の特徴

 「お座敷小唄」は年初も人気です。歌謡曲ではブーム化したようで「まつのき小唄」「女心の唄」など、似た作品が人気を集めています。

 

 前年の「ウナセラ・ディ東京」の成功から、「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」「涙くんさよなら」などの各社競作の企画盤が多い事も特徴です。

 

 なぜか要注意歌謡曲として放送禁止に指定された作品が「網走番外地」「悦楽のブルース」「ヨイトマケの唄」と多い気がします。

 

ヒットしたのは誰?

 最も多くのヒット曲を手掛けられたのは、作詞家の岩谷時子さんです。複数のレコード会社の作品を担当されています。"フリーランスの作詞家が支持された事"は、この年の特徴かも知れません。

 

 翌年の若大将ブームを予感させる「恋は紅いバラ」、前年の『愛と死をみつめて』を踏襲したような「わが愛を星に祈りて」、作曲家いずみたくさんとコンビで製作された「僕らはみんな恋人さ」が印象に残ります。愛情を豊かに表現できる作詞家です。

 

表現が広がった流行歌

 「ヨイトマケの唄」「かえしておくれ今すぐに」は、制作過程を知ると”メッセージ性のある作品”です。

 

 後年の反戦フォークに似た視点を感じます。レコード会社に就職する専属作詞家が表現しなかった歌詞は新しさを感じます。

 

 女性歌手の作品では、"歌唱力が重視され始めた"印象があります。伊東ゆかりさんが第15回サン・レモ音楽祭に出場し、入賞した事がきっかけでしょうか。

 

 洋楽の日本語カバーは少なくなりましたが、「夜明けのうた」「夏の日の想い出」などの日本人が作曲する作品で"洋楽のようなあか抜けたサウンド"を感じる事が多くなりました。

 

青春歌謡もベンチャーズ?

 ベンチャーズさんといえばエレキギターのみの演奏です。なかでもテケテケ奏法(クロマチック・ラン)が人気を集めたのかも知れません。

 

 前年の橋幸夫さんの活躍で予兆を感じますが、エレキギターを伴奏に加えた"スピード感のある青春歌謡"が多く登場しました。

 

 人気が飛躍した西郷輝彦さんや美樹克彦さんだけでなく、舟木一夫さんや北原謙二さんもアップテンポな作品を歌われています。

 

ビートルズはロックンロール?

 ビートルズさんは前年に続いて人気を集めています。興味深いのは年初に発売された「のっぽのサリー」「ロック・アンド・ロール・ミュージック」です。

 

 1950年代のロックンロールをカバー盤で、"激しさを感じさせるサウンド"も人気となったようです。日本では未発売だったクリフ・リチャードさんの「ダイナマイト」もヒットしています。

 

洋楽は東芝さんの一人勝ち?

 ベンチャーズさんとビートルズさんの2大グループは、東芝音楽工業さんから発売されています。

 

 この年、創設55周年の日本コロムビアさんは、日本人が製作した「涙の太陽」を洋楽盤として発売されています。もしかしたら「負けてたまるか!」と考えての企画だったのかも知れません。

 

 

あとがき

 1曲をテーマにする事が多いため、「全体を見る記事も作成しよう」と考えています。

 

 1年を振り返るのは、思っていたより調査に時間がかかりました。「まとめ」カテゴリの記事は後日加筆修正を行う可能性があります。よろしくお願い致しますm(_ _ )m。

 

参考文献

 「NHKアーカイブス」(Webサイト)

 『ミュージック・マンスリー』月刊ミュジック社

 『ダンスと音楽』ダンスと音楽社