ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「想い出のセレナーデ」天地真理(昭和49年)

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流行時期(いつ流行った?)

 天地真理さんの「想い出のセレナーデ」は、昭和49年(1974年)にヒットしました。

 

 9月初めに発売されたレコードは、同月9月と10月に最高順位となっています。

 

<『レコードマンスリー』歌謡曲・月間ランキング推移>

年月 順位
昭和49年09月 7位
昭和49年10月 7位
昭和49年11月 11位
昭和49年12月 20位

 

 


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注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 Sony Music Entertainment (Japan) Inc., SME(Sony Music Direct (Japan) Inc. の代理); Muserk Rights Management、その他 1 件の楽曲著作権管理団体

 

 

"別れ"がテーマのアイドルソング

 天地真理さんはデビュー曲の「水色の恋」(1971)がヒットして以降、発売されたレコードが立て続けにヒットします。

 

<天地真理さんのヒット曲一覧>

ヒットした年 曲名 作詩者 作曲者 編曲者
1971 水色の恋 田上えり 田上みどり・補作曲 森岡賢一郎 森岡賢一郎
1972 ちいさな恋 安井かずみ 浜口庫之介 馬飼野俊一
1972 ひとりじゃないの 小谷夏 森田公一 馬飼野俊一
1972 虹をわたって 山上路夫 森田公一 馬飼野俊一
1972,1973 ふたりの日曜日 山上路夫 平尾昌晃 竜崎孝路
1973 若葉のささやき 山上路夫 森田公一 竜崎孝路
1973 恋する夏の日 山上路夫 森田公一 馬飼野俊一
1973 空いっぱいの幸せ 山上路夫 森田公一 竜崎孝路
1974 恋人たちの港 山上路夫 森田公一 竜崎孝路
1974 恋と海とTシャツと 安井かずみ 森田公一 竜崎孝路
1974 想い出のセレナーデ 山上路夫 森田公一 竜崎孝路
1974,1975 木枯らしの舗道 山上路夫 森田公一 穂口雄右
1975 愛のアルバム 山上路夫 森田公一 森田公一

 

 

 「水色の恋」から「恋する夏の日」は、"その年のヒット曲!"と言える記録です。

 

 この時代は天地真理さんのように、"安定して支持を得られるアイドル"の育成が重視され始めた時代と感じます。

 

 従来のプロのスカウトに限らず、『スター誕生!』という素人オーディション番組から誕生した歌手も人気を得始めています。(国内だけでなく香港の人気歌手アグネス・チャンさんも日本で人気を得ていた時期です。)

 

 天地真理さんは"恋人と共に過ごす幸せや希望"を歌い続けて来られましたが、デビュー曲の「水色の恋」だけは"別れ"がテーマになっています。

 

 「想い出のセレナーデ」はさらに踏み込み、完全に心が通わなくなった"別れ"を主題としています。

 

 天地真理さんの個性が世間に定着してからの作品を担当されていた山上路夫さんが、避け続けていたであろう"別れ"を主題にした事は新しい試みと感じます。

 

 

3種類のメロディー、Cメロ?

 アイドルの先駆者として活躍された天地真理さんに「新境地を!」と感じていたのは、作曲された森田公一さんも同じだったと思われます。

 

 Cメロと解釈できるメロディーを作られているからです。

 

 この時代の流行歌はAメロとBメロで構成される作品が多いです。理由は2種類だと"耳に残りやすい"、"覚えやすい"という性質が生まれるからだと思います。

 

 3つ目のメロディーは聴き手の想像力を広げます。歌手としても心情をより立体的に表現できる技巧と感じます。

 

 「想い出のセレナーデ」は作詩・作曲のどちらから見ても、作り手の想いが込められた作品だったと感じます。

 

 

歌声は個性

 当たり前の事かも知れませんが、どの時代の流行歌手も「ふいに耳にしても、嫌悪感を抱かない歌声」であると感じます。

 

 "美しい"という言葉は容姿に多用されますが、目に見えない声も同じと思います。

 

 天地真理さんの高く透き通る歌声は細さ、か弱さも感じます。そのため他の流行歌手の作品を聴いても感じない"可憐さや純粋さ"を感じる事ができます。

 

 おそらく天地真理さんは「想い出のセレナーデ」で描かれた心情を、他者の気持ちを理解しようとする姿勢で歌唱されたと思います。

 

 詞と曲と歌声が協力しあって生まれた作品と感じます。

 

 

ヒット曲のその後

 レコード会社も『「想い出のセレナーデ」は名曲だ!』と認識したのか、ブレイク前の石川ひとみさんや浜田朱里さんにカバーを企画されています。

 

 ・・・聴き比べての個人的な感想ですが、歌い手が前に出すぎている印象を受けました。

 

 「想い出のセレナーデ」は天地真理さんのための作品ですし、カバーした本人の個性を売り出す必要があると思いますので仕方ないと思います。

 

 やはり、「上手いですが、伝わり方が違う・・・」と感じてしまいます。

 

 『NHKのど自慢』を見ていていつも思うのですが、本当に上手い人は上手いです。上手いというのは、歌唱力があるだけではなく、聴いていて心に入って来る歌声を披露される方です。

 

 「声の質が好きか嫌いか?」というレベルの話では無いと考えています。伝えたい気持ちの深さでしょうか。

 

 「聴き手の心に響くか響かないか?」の差は、いまだに理由が分かりません・・・(^^;A。

 

 

曲情報

 発売元:株式会社CBSソニー

 品番:SOLB-173

 

 A面

  「想い出のセレナーデ」

  作詞:山上路夫

  作曲:森田公一

  編曲:竜崎孝路

  演奏時間:3分35秒

 

 

 B面

  「わたしの場合」

  作詞:安井かずみ

  作曲:森田公一

  編曲:馬飼野俊一

  演奏時間:3分12秒

 

 

参考資料

 「想い出のセレナーデ」レコードジャケット

 『レコード・マンスリー』日本レコード振興株式会社

 『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン