流行時期(いつ流行った?)
レス・ポールとメリー・フォードさんの「ヴァイヤ・コン・ディオス」は、昭和28年(1953年)11月から翌年3月にかけてヒットしました。
現在では"ヤ"ではなく"ア"の、「ヴァイア・コン・ディオス」が一般的な表記となっているようです。
スペイン語のカナ表記です。英題をGoogle翻訳すると、「神があなたと共にありますように」という意味になります。
『ダンスと音楽』の月間ランキングの推移は下記の通りです。
年月 | 順位 |
昭和28年11月 | 2位 |
昭和28年12月 | 1位 |
昭和29年01月 | 1位 |
昭和29年02月 | 1位 |
昭和29年03月 | 4位 |
昭和29年04月 | 7位 |
昭和29年05月 | 12位 |
戦後8年の昭和28年…。流行歌の情報も少なく、当時の世の中の空気感が分かりません(^^;A。
昭和28年はテレビ放送が始まった年です。街角に街頭テレビが設置され、国産の洗濯機や冷蔵庫も発売されたようですが、こちらも普及はまだまだだったようです。
「ヴァイヤ・コン・ディオス」はラジオ放送からヒットした作品と推測されます。
Vaya Con Dios (May God Be with You)
注)レス・ポール - トピックの動画
忘れられたヒット曲?
「ヴァイヤ・コン・ディオス」は意識して聴いていなくても、なぜか後々で気になってくる作品です。
流行歌の特性を備えていると感じます。
『ダンスと音楽』のランキング推移では初登場2位と、前評判が高かった作品と感じます。
今の価値観で考えると、何かの番組とタイアップがあったのかな?と想像してしまいます。
当時のレコード業界の市場規模が不明のため、素直にランキング結果を受け止められませんが、3か月間首位となっているため、人気を集めていた事は間違いなさそうです。
ただ現在では、タイトルでネット検索しても、ヒットする記事の件数がかなり少ないです。
歳月が経ちすぎて、忘れられてしまった作品になっている?と感じます。
「テネシー・ワルツ」には勝てなかった?
この作品は3拍子です。
3拍子というと、前年にヒットしたパティ・ペイジさんやジョー・スタッフォードさんが吹き込んだ「テネシー・ワルツ」(1952)が思い浮かびます。
「テネシー・ワルツ」のヒットをきっかけに、洋楽ではワルツ(3拍子)の作品がブームとなっています。
残念ながら「ヴァイヤ・コン・ディオス」は、多くの方々にとって"当時のワルツブームのなかの1曲"という認識で、記憶の片隅に残っている作品かもしれません。
なぜ印象に残る?
音域が狭く、音程を変えて同じフレーズを繰り返す動きが、聴き手の耳に残りやすい(覚えやすい)理由と感じます。
サビも気になります。音階を順に下っていくフレーズは、「恋はみずいろ」(1968)でも用いられており、おそらく作曲法の1つと思います。
「ヴァイヤ・コン・ディオス」の場合も、3拍子のリズムから少しズレるような動きになっています。
音楽というとテクニックが重要なのかな?と考えてしまいますが、楽譜を見るとシンプルです。
こういった作品で独特な雰囲気を演出できる方は本当にスゴいと感じます。
「ヴァイヤ・コン・ディオス」は当時、江利チエミさんが日本語カバー盤を発売されています。
後年に発売された「ネヴァー・オン・サンデー」(1961年)のB面にも収録されており、もしかすると、お気に入りだったのかも知れません(^^)♪
曲情報
発売元:キャピトル・レコード
品番:Z-202
A面
「ジョニー」
原題:Johnny(Is The Boy For Me)
Marcel Spellman - Patty Roberts
LES PAUL and MARY FPRD
B面
「ヴァイヤ・コン・ディオス」
原題:VAYA CON DIOS(May God Be With You)
Russell - James - Pepper
Vocal by Mary Ford
LES PAUL and MARY FORD
参考資料
『SPレコード60,000曲総目録』昭和館 アテネ書房
『現代風俗史年表』河出書房新社
「オークフリー」Webサイト
『Vaya Con Dios』ぷりんと楽譜