ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「デンセンマンの電線音頭」(昭和52年)

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流行時期(いつ流行った?)

 「デンセンマンの電線音頭」は、正確な流行時期が分かりません。レコードは発売されましたが、ヒットしていないからです。

 

 「電線音頭」は、当時放送されていたバラエティ番組『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』の大人気コーナーだったようです。

 

 この番組が放送されていた頃をご存知の方々にとっては、普通のヒット曲と肩を並べるくらい「流行った!」と記憶に残っていると思われます。

 

 Yahoo検索で「電線」と入力すると、候補に「電線マン」が提案されます。…「電線」で検索する事はないですけど、Yahooさん、スゴいです…。

 

 


注)ライセンス Watanabe Music Publishing Co .,ltd.(Solid Records Ultra-Vybe,Inc の代理)、その他 1 件の楽曲著作権管理団体

 

 

手塚治虫も知っていた「電線音頭」

 レコードは1976年12月末に発売されています。人気を得たからレコード化されたのか、曲が完成した時点で発売されたのかは分かりません。

 

 ヒットチャートで流行時期が分からないときは、連載漫画に頼ります。 昭和のマンガ雑誌では、その頃流行っていた曲が突然登場する事があるからです。

 

 作中に「電線音頭」が登場する作品で、私が見つける事ができたのは、

  手塚治虫さんの『ブラック・ジャック』

  秋本治さんの『こちら葛飾区亀有公園前派出所(こち亀)』です。

 

 『ブラック・ジャック』では、『週刊少年チャンピオン1977年11月14日号』に掲載された「一ぴきだけの丘」に、「電線音頭」の合いの手を連想させるコマが登場します。

 

 『こち亀』では、『週刊少年ジャンプ1977年31号』に掲載された「でました18番!の巻」で、両津勘吉さんが「電線音頭」を披露する場面が描かれています。

 

 "当時の漫画家が作品にコマを割いた"という事は、"その時期に話題となっていた"という事と思います。

 

 そう解釈すると、「デンセンマンの電線音頭」が流行ったのは、1977年下半期になりそうです。

 

 

初代・電線音頭

 『こち亀』では、「両津さんは、毎年、電線音頭を披露する」というセリフが登場します。

 

 もしかすると秋本治さんは、初代の電線音頭もご存知だった可能性があります。

 

 初代「電線音頭」は、桂三枝(桂文枝)さんが歌っています。レコード化されていますが、全くヒットしていないため、発売日も分かりません…。

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桂三枝の電線音頭(音のみ)

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 Watanabe Music Publishing Co .,ltd.(Solid Records Ultra-Vybe,Inc の代理); Muserk Rights Management

 

 

 「桂三枝の電線音頭」は、『ドカンと一発60分』という番組内で披露されていたようです。

 卑猥な歌詞で、とても子供向けではありません…。

 

 曲の内容は笑福亭鶴光さんの「うぐいすだにミュージックホール」(1975)に近いです。

 

 そのため、「桂三枝の電線音頭」は、鶴光さんのレコードがヒットした事を受けて発売されたのだと推測されます。1975、76年発売と思われます。

 

 小松政夫さんは初代でも司会の役割で、どちらの電線音頭も知っておられる事になります。

 

 

子供向けに一新した「電線音頭」

 「桂三枝の電線音頭」の俗謡っぽさを排除し、"デンセンマン"という子供に人気の高い戦隊ヒーローのようなキャラクターを新たに設定した「デンセンマンの電線音頭」。

 

 明らかに製作陣は、ターゲットを深夜番組を視聴する層から、親も安心して楽しめる子供向けの内容に変更しています。

 

 おそらく、「およげ!たいやきくん」(1976)の空前の大ヒットを目の当たりにした事が、方向転換のきっかけだったのだろうと思います。

 

 

 この発想の転換は面白いです。テレビ番組の企画は使い捨てのイメージがありますが、企画チームのなかで「電線音頭は面白いから、このまま終わらせるのはもったいない!」という意見が通ったのでしょう。

 

 小松政夫さんもそう思っていたのかも知れませんね。

 

 「デンセンマンの電線音頭」というタイトルながら、多くの人の記憶に残っているのは、ベンジャミン伊藤と名のり、雷に打たれたかのような髪型やヒゲの姿、奇抜なファッションで登場した伊東四朗さんと思います。

 

 ベンジャミン伊藤さんが、こたつの上に土足で上がり、狭いお立ち台と見立てて謎めいた踊りを披露する姿は、子供たちに相当の衝撃を与えた事と思います。 

 

 YouTubeに番組の動画がいくつかあがっていますが、意味不明すぎます…(^^;A。

 

 出演ゲストは、指名されると必ず踊らなければならないルールがあったのですね。

 

 視覚で楽しませる事が出来るテレビでなければ、流行らなかった作品と思います。

 

 

曲情報

「桂三枝の電線音頭」

 発売元:ユニオンレコード

 品番:UC-11

 

 A面

  「桂三枝の電線音頭」

  作者不詳

  作詩:田村隆

  編曲:東海林修

  歌:桂三枝

  司会:小松政夫

  協力:メッツ

  演奏時間:3分58秒(AB面共)

 

  スクールメイツ・コーラス

  渡辺プロスタッフルーム・企画

 

  「ドカンと一発60分」より

 

  制作担当=松井浩

 

 B面

  「カラオケ」

 

「デンセンマンの電線音頭」

 発売元:ワーナー・パイオニア株式会社

 品番:L-57W

 

 A面

  「デンセンマンの電線音頭」

  作詞:田村隆

  作曲:不詳

  編曲:東海林修

  歌:デンセンマン・伊東四朗・小松政夫・スクール・メイツ・ジュニア

  演奏時間:3分46秒

 

  御存知人気沸騰!NET系「みごろ!たべごろ!笑いごろ!!」名物音頭

 

  さあ!みなさまご一緒にどうぞ!!

 

 B面

  「デンセンマンの電線音頭カラオケ」

  作曲者不詳

  編曲:東海林修

  台詞:デンセンマン

  演奏時間:3分46秒

 

参考資料

 「桂三枝の電線音頭」レコードジャケット

 「デンセンマンの電線音頭」レコードジャケット

 『ブラック・ジャック』

 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』