流行時期(いつ流行った?)
TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、Nomadsさんの「Yakalelo」は、1998年5月下旬から9月中旬にかけて、5か月の間ヒットしています。
首位は獲得できず2位止まりの作品です。7月から8月初めにかけて6週間連続で2位を獲得しています。
この時の首位になっていたのはManauさんの「La Tribu de Dana」でした。
「Yakalelo」も「La Tribu de Dana」も、特定の地域で培われて来た民族音楽を連想させる作品です。当時のフランスでは、こういった音楽表現が支持される雰囲気があったようです。
同時期に日本で流行っていた曲(1998年5月下旬~9月中旬)
日本では、hide with Spread Beaverさんの「ピンクスパイダー」や「ever free」、the brilliant greenさんの「There will be love there -愛のある場所-」、T.M.Revolutionさんの「HOT LIMIT」、SPEEDさんの「ALIVE」、ラルク・アン・シエルさんの「HONEY」、ポケット・ビスケッツさんの「Power」などの作品が首位を獲得しています。
週替わりでランキングが変化するものの、その年を代表する作品が首位になっている傾向が感じられます。
その他には、モーニング娘。さんの「サマーナイトタウン」、Kiroroさんの「未来へ」などがヒットしています。
架空のワールドミュージック?
「Yakalelo」は、ゆかりの無い遠い国の音楽を連想させる作品と感じます。ワールドミュージックであると聴き手に感じさせる世界観を持っていると思いますが、どうも、特定の国の音楽を取り上げた作品ではないようです。
プロモの舞台が砂漠だったり、独特な民族衣装を着飾った人が登場しますが、火をおこす魔術めいた事をする人や、言葉で動物の動きを封じる人がいるような不思議な世界が描かれています。
歌詞に用いられている言語で見ると、歌唱の部分ではスペイン語が用いられているようです。しかし、当時流行していたラップ詞では英語になっており、作品の設定は無国籍な印象を受ける作品です。
異国に対するあこがれ
情報の少ない異国に対して、夢のような想像をふくらませる心理はヒット曲の世界では一般的と感じます。
過去にご当地を取り上げてヒットした作品を振り返ってみると、実際に訪れたり有名な観光地を歌詞にした作品がほとんどと思いますが、中には想像だけで描かれた作品がヒットしている事があります。
有名なのは、庄野真代さんの「飛んでイスタンブール」(1978年)でしょうか。歌詞中に砂漠という単語が出てきますが、実際はイスタンブールに砂漠は無いそうです。
古くは菊池章子さんの「星の流れに」(1947年)も、“タバコをふかして口笛を吹く”という事が出来るのか、と冗談交じりで歌詞が解釈された事があるようですが、ヒット曲は感情を自由に表現する場であると考えていますので、歌詞が描く世界が現実に即しているかどうか、たとえ矛盾があっても大した問題ではないと認識しています。
異国に対して想像力だけで作られた作品で重要だと感じるのは、“自分が見知らぬ国や街に対して、あれこれと自分にとって魅力的な街並みを想像する心理”が働いている事です。
実際は想像通りで無かったとしても、聴き手に共感を与える事が出来る点が興味深いです。
「Yakalelo」は、フランスでワールドミュージックが人気になりつつあった時期にヒットしていますが、架空の国を想像して製作された作品のようです。
フランス人が知らない国、そういった異国に対して思い描くイメージをこの作品が表現できていたために支持が集まったと考えられます。
独特の世界観を持つ作品を生み出した発想力はすごいと感じます。
タイトルは「ヤカレロ」と読みますが、カタカナ4文字の作品ですので、Los del Rio(ロス・デル・リオ)さんの「Macarena(恋のマカレナ)」(1996年)から連想されたのかな?と考えたりしています。
楽曲分析
「バンドプロデューサー5」の分析では、「Yakalelo」はDマイナー(ニ短調)です。
参考資料
TOP50(http://www.chartsinfrance.net/)
「you大樹」オリコン
「Yakalelo」CDジャケット
「バンドプロデューサー5」