ヒット曲けんきゅうしつ

流行した音楽を探して、色々考えるブログ

「お座敷小唄」はどれくらい流行った?

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流行時期(いつ流行った?)

 和田弘とマヒナ・スターズ、松平直樹、松尾和子さんが歌われた「お座敷小唄」は、東京オリンピックが開催された昭和39年(1964年)にヒットしました。昭和30年代のヒット曲ですが、おそらく知名度が高い作品と思われます。ヒットの推移は下記の通りです。

 

 

集計日付 順位
昭和39年8月 9位
昭和39年9月 3位
昭和39年10月 1位
昭和39年11月 1位
昭和39年12月 1位
昭和40年1月 1位
昭和40年2月 2位
昭和40年3月 7位

※『ミュージックマンスリー』歌謡曲のランキング推移

 

 昭和39年8月に9位で登場して、東京五輪が開催された10月に首位になっています。その後、4ヶ月間連続で首位となりました。

 

 東京オリンピック閉会後に本格的な流行が始まったようです。翌年になっても流行していた事がうかがえます。

 

同時期に流行った曲

 歌謡曲では、リズム歌謡のさきがけとなった橋幸夫さんの「恋をするなら」園まりさんの「何も云わないで」石原裕次郎さんの「俺はお前に弱いんだ」美空ひばりさんの「柔」や、都はるみさんの「アンコ椿は恋の花」が流行していました。小林旭さんの「自動車ショー歌」もこの時期にヒットしています。

 

 洋楽では、イタリアやフランスの作品が目立ちます。ジリオラ・チンクェッティさんの「夢見る想い」ボビー・ソロさんの「ほほにかかる涙」シルヴィ・バルタンさんの「アイドルを探せ」ミーナさんの「砂に消えた涙」「ブーベの恋人」のサウンドトラック盤。アニマルズさんの「朝日のあたる家」もこの時期に流行していました。

 

 

『サザエさん』に2度登場したヒット曲

 当時、朝日新聞に連載されていた4コマ漫画『サザエさん』に、この作品が登場します。

 

 漫画に登場した作品は、ほぼ1度しか登場しませんでしたが、「お座敷小唄」は2回登場します。

 

 

 1度目は、昭和39年12月19日(土)。サザエさんが「お座敷小唄」を歌っているのをとがめる波平さんが、「この歌には著作権がないから自由に歌っていい」とサザエさんに反論されて、2人して一緒に大声で歌う展開になります。

 

 2度目は、昭和40年 2月18日(木)。旅館の温泉が場面で、どこかのおじさんが湯船で「お座敷小唄」を歌います。すると、サザエさんはカツオくんが歌っていると思い込んで、歌うのをとがめる展開になります。

 

 『ミュージックマンスリー』のランキングと見比べても、時期的に流行している頃の4コマです。年末年始にかけて長期間、大規模な流行を記録した作品と思われます。

 

 どちらの4コマでも、「『お座敷小唄』は、若い世代が調子に乗って歌ってはいけない歌だ。」と叱責する大人が登場しています。

 

 「愛ちゃんはお嫁に」(昭和31年発売)等と同類の扱いを受けたようです。『流行っているからといって、大人の世界が垣間見える歌謡曲を口ずさむのは、はしたない行為である』という価値観があったようです。

 

 

大流行した作詞者不詳の作品

 「お座敷小唄」は作詞者が誰だったのか?が不明の作品です。JASRACの作品データベース検索でも作詞者は不詳のままです。そのため著作権を保持されている方が当時から存在しません。

 

 大流行は面白い痕跡も残しています。昭和40年4、5月のランキングには「続・お座敷小唄」が低い順位ながらランクインしています。(相当流行ったにしても、「続」って(>_<)!)

 

 「お座敷小唄」は中古レコード店でも見つけやすい作品です。この時代のレコードを見かけたときは、ややレアな印象を受けますが、「お座敷小唄」は売れすぎたようでレア度はかなり低いです。

 

 個人的には、当時のレコード生産量の水準の低さを考慮しても、4ヶ月連続1位だった事、老若男女に好まれた作品である事を加味すると、300万枚近い売上を記録したのではないかと根拠のない妄想をしてしまいます。

 

 おそらく、この作品に人気が集中したのは、東京オリンピックが成功した事で、世の中には安堵というか達成感、うかれたような雰囲気が勝っており、陽気な曲調がその時代の空気に一致したからかな?と考えています。

 

 流行歌の世界で考えると、東京五輪が終了したから、多くの人が東京五輪ロスになった、という世相は見受けられませんので・・・。

 

 

軽快なドドンパのリズム

 歌詞の原作は江戸時代でしょうか、しゃれた言い回しが印象に残る「お座敷小唄」ですが、リズムにも特徴があります。それは、ドドンパのリズムを用いている事です。

 

 ドドンパがどういうリズムか分からなくても、聴き手は軽快さを感じる事ができます。

 文字で表現すると、4分の4拍子で「♪・ タン タタタ タータ」の繰り返しです。聴いた印象では、このリズムは、3拍目のタタタが3連符で変化があり良い感じです。

 

 ドドンパのリズムが初めて登場したのは、昭和36年の「東京ドドンパ娘」です。その後、昭和37年には北原謙二さんの作品で用いられましたが、そこで流れが途絶えた印象があります。

 

 この作品の後、同様にドドンパのリズムを用いた「まつのき小唄」がヒットします。また、「網走番外地」「女心の唄」と、作者不詳であったり、歌詞が3番以上ある小唄的な作品がヒットする事になります。

 

 この作品の大流行は、後の流行にも大きく影響を与えたと感じられます。私は、1960年代のレコードで最も売れて、流行した作品ではないか?と考えています。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」では、「お座敷小唄」はBメジャーです。

 

 

曲情報

 発売元:日本ビクター株式会社

 品番:SV-77

 A面

  「お座敷小唄」

  採譜:和田弘

  編曲:寺岡真三

  演奏時間:3分22秒

 

 B面

  「マヒナのさのさ」

  編曲:和田弘、寺岡真三

  演奏時間:3分6秒

 

 

参考資料

 「お座敷小唄」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『朝日新聞縮刷版』

 「作品データベース検索サービス」JASRAC(Webサイト)