ヒット曲けんきゅうしつ

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「あの娘たずねて」佐々木新一(昭和41年)

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流行時期(いつ流行った?)

 佐々木新一さんの「あの娘たずねて」(あのこ たずねて)は昭和41年(1966年)にヒットしました。

 『ミュージックマンスリー』のランキングによると、最もヒットしたのは、昭和41年5月になります。

集計日付 順位
昭和41年2月 20位
昭和41年3月 14位
昭和41年4月 15位
昭和41年5月 5位
昭和41年6月 15位
昭和41年7月 13位

 

青春歌謡のうちの1曲

 「あの娘たずねて」は、歌詞では主人公の年齢が描かれていませんが、歌い手が若い方なので、当時の価値観では青春歌謡に該当した作品と感じます。

 

 昭和41年は、橋幸夫さん(ビクター)、舟木一夫さん(コロムビア)、西郷輝彦さん(クラウン)が大いに活躍されていた年です。

 おそらく御三家という愛称も誕生していたと思われます。ビクターさんには、三田明さんもおられました。

 

 彼らの人気に追いつこうとして、他のレコード会社も青春歌謡の歌手をプロデュースする動きがあったと思われます。その中でキングレコードさんが、自社の青春歌謡歌手として企画されたのが佐々木新一さんだったと考えられます。

 

キングレコードさんの謎の企画力

 個人的な感想ですが、昭和3、40年代のキングレコードさんのヒット曲には、想像を超えた企画が会社の会議で通っているイメージがあります。

 聴き手を裏切る奇抜な企画とでも言うのでしょうか、佐々木新一さんの「あの娘たずねて」でも、その企画力を感じます。

 

 「あの娘たずねて」は青春歌謡の作品と感じますが、歌唱や演奏を聴いていると、おどけているというか、なぜかコミカルな要素が強調されているからです。

 

 リズム歌謡として製作されたのでしょうが、一度聴いたら忘れられないくらいベタさを感じるメロディは、ポップスよりも歌謡曲テイストであると感じます。

 

 「あの娘たずねて」は、イントロの時点で聴き手にインパクトを与えてくれます。ポップスを目指すはずのリズム歌謡で、歌謡曲に仕上げている意図が私には読めません。

 

 

 キングレコードさんの企画力が最も発揮された作品で真っ先に思い浮かぶのは、ペギー葉山さんの「南国土佐を後にして」(昭和34年)です。

 

 歌われるご本人は海外作品を表現されていた方なので、“なぜ日本民謡が挟まれる歌謡曲を歌わないとダメなのか、嫌々歌っていた”というエピソードを何かの書籍で読んだことがあります。

 

 芸名の時点で洋楽部門の歌手として契約していたと推測される方に、あえて日本的な作品を吹き込ませたキングレコードさんの意図は本当に謎です。伝統があるのでしょうか?

 

歌詞に登場する地名と新幹線

 「あの娘たずねて」は、1番が東京、2番が大阪、3番が香川になっています。

 

 今の価値観で言うと、そのまま、もっと西へ進んで、3番は九州・博多が舞台になっても良いのではないか?と感じます。

 

 東京~大阪間はすぐに移動するのに、次は大阪~香川間と、急に短い距離になっているため違和感を感じます。

 

 しかし、東京オリンピックが開催された2年後の昭和41年は、どうやら新幹線は東京~新大阪間での走行だったため、歌の登場人物もさすがに簡単に九州までは行けなかったように考えられます。

 大阪からはフェリーで香川県に向かったのでしょう。

 

 歌詞に“新幹線”は出てきませんが、好きな人を探すために最新の交通手段を使った事が読み取る事ができます。

 “何としても探し出そう!”という主人公の決意を、最先端の東海道新幹線を利用してでも見つけ出そうとする姿を暗に示す事で表現していたのかも知れません。

 

 …ちなみに初めて“新幹線”が歌詞に出てきたヒット曲は、バーブ佐竹さんの「カクテル小唄」(昭和40年)です。

 他の作品では“新幹線”を見かけません。おそらく作詞家さんには扱いづらい単語だったのかも知れませんが、当時の世間では“新幹線”が話題のフレーズだった可能性があります。

 

 バンドプロデューサーの分析では、「あの娘たずねて」はD♯マイナー(嬰ニ短調)です。

 “・タタ・タタ”とウラ拍のリズムが刻まれ、テンポも速い作品です。そのためポップスの要素を備えていると感じますが、聴き手にとってはベタな印象を受ける、典型的なヨナ抜き短音階のメロディのため、歌謡曲と感じる作品です。

 

曲情報

 発売元:キングレコード株式会社

 品番:BS-336

 A面

  「あの娘たずねて」

  作詞:永井 ひろし

  作曲:桜田 誠一

  編曲:桜田 誠一

 

 B面

  「若い涙よ 風に散れ」

  作詞:赤堀 英夫

  作曲:桜田 誠一

  編曲:桜田 誠一

 

 (B面コーラス)ヴォーチェ・アンジェリカ

 

参考資料

 「あの娘たずねて」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『全音歌謡曲全集15』全音楽譜出版社

 「バンドプロデューサー」