ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「骨まで愛して」城卓矢(昭和41年)

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 流行時期(いつ流行った?)

 城卓矢(じょうたくや)さんの「骨まで愛して」は、昭和41年(1966年)にヒットしました。

 

 『ミュージックマンスリー』の“全国のレコード店がえらんだ今月のベスト・セラーズ”のヒットチャートでは、昭和41年の4、5月に最も流行したようです。

 

集計日付 順位
昭和41年2月 4位
昭和41年3月 4位
昭和41年4月 2位
昭和41年5月 2位
昭和41年6月 13位

 

 同時期に流行った作品

 最高順位が2位となっていますが、「骨まで愛して」が1位を獲得できなかったのは、加山雄三さんの人気が理由と考えられます。

 

 4月は「君といつまでも」が首位、5月は「蒼い星くず/夕陽は赤く」が首位になっていました。

 

 1966年の加山雄三さんの活躍は、後世に若大将ブームと呼ばれています。その時期に流行していた作品です。 

 

 


『骨まで愛して』

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 UMG(EMI Records Japan の代理); Muserk Rights Management、その他 1 件の楽曲著作権管理団体

 

 

作品について

 この作品の個性と言えるのは「骨まで愛して」というタイトルです。“骨”という単語は、流行歌のタイトルに用いられる事が無かった単語で、この作品以降も骨がタイトルに入ってヒットした作品は存在しません。

 作詞家の言葉の選び方が冴えるタイトルだと感じます。

 

 後から流行歌を調べるときは「『骨まで愛して』というタイトルの曲が流行ったんだ。」と普通に受け止めてしまいますが、初めて聞いた当時の人たちにとってはインパクトを与えた歌詞だと感じます。

 

 曲調は従来の歌謡曲なのに、サビに入った途端に「骨まで愛して」と何度も繰り返すのですから、ラジオやテレビで初めて視聴された方は「何まで?えっ、ホネまで?」となった事と思われます。

 

 「骨まで愛して」は、好意を寄せている男性に愛されたい、という願いを持つ登場人物が主人公です。愛されたいと願う気持ちの心理は、様々な歌謡曲で歌われていますので、一般的な主題です。

 

 ただ、作品によって想いの程度の差があります。私だけを愛してほしいと願う一途な方か、そばに居れるだけで幸せと感じる方かと、歌の主人公の“愛されたい”と願う気持ちに強弱があります。

 

 「骨まで愛して」は、一途な女性の心情が歌われています。言い換えれば、私の全てを愛してほしい、私が先に死んでしまっても愛し続けてほしい、と永遠に近い愛を望む心理が歌われていると感じます。

 

 登場人物の心理が奥深いと、歌詞の内容も暗くて重い印象を受けてしまいますが、作詞ではそれを“骨まで”という表現に凝縮している点が素晴らしいと感じます。

 

 普通であれば、“相手の事をどれだけ深く想っているか?”を表現するには、様々な言い回しを用います。その分、言葉数が増えてしまいます。

 

 「骨まで愛して」は、その想いを端的に表現するために“骨”を用いています。

 

 プロの作詞家の作品と感じる理由は、「聴き手は、“骨まで”と聞けば、いろいろ想像して、歌の主人公像を頭の中で描いてくれるだろう。」という所まで見通していると思わせてくれる点です。

 

 バンドプロデューサーの分析では、「骨まで愛して」はDメジャー(ニ長調)です。

 

曲情報

 発売元:東芝音楽工業株式会社

 品番:TP-1197

 

 A面

  「骨まで愛して」

  作詞:川内和子

  作曲:文れいじ

  編曲:文れいじ

  歌:城卓矢

  演奏時間:3分32秒

 

 B面

  「ひとりじゃ淋しいんだ」

  作詞:川内和子

  作曲:文れいじ

  編曲:文れいじ

  歌:城卓也

  演奏時間:2分56秒

 

参考資料

 「骨まで愛して」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『全音歌謡曲全集16』全音楽譜出版社

 「バンドプロデューサー」