ヒット曲けんきゅうしつ

流行した音楽を探して、色々考えるブログ

「19:00の街」野口五郎(昭和58年)

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 昭和58年のヒット曲「19:00の街」は野口五郎さんの作品です。19時の街(じゅうくじのまち)と読みます。

 

 1月に発売されたレコードは、ベストテン入りはしておりませんが、2月末から4月末にかけてヒットしました。

 テレビドラマ『誰かが私を愛してる』の主題歌で、ドラマの放映期間中にヒットしたようです。野口五郎さんにとっては、久々のヒット曲となります。

 

 ヒットチャートには様々な流行歌手の方々が登場されますが、全盛期からしばらくしてヒット曲を生み出せる方は、大変幸運な事であると感じます。他にも様々な方が、こういった形でヒット曲を生み出されておられます。

 まるで歌手が天職であるかのような、幸運に恵まれた方であると感じます。

 

 「19:00の街」は、全盛期の野口五郎さんの作品と共通している点があります。

 

 別れた恋人への愛情が描かれている事、その感情を詩的に表現されている事です。

 

 「甘い生活」から「むさし野詩人」まで、全盛期の野口五郎さんの作品は、全て別れた恋人への想いを綴った作品です。

 

 作品に共通するのは、女性の人物像が描かれず、恋愛をしていた時の想い出を第三者の視点で描いている歌詞です。

 そして、破局した男性の心理を歌われますが、フラれてクヨクヨとしている心情ではなく、あの時自分がもっと愛情を伝える事が出来ていれば!という反省と後悔の感情です。

 

 「19:00の街」でも、別れた恋人にとって心の傷にもならない程度の恋愛と受け止められた自分の姿勢を反省しています。

 相手には本気じゃないと思われたけど、こちらは本当に愛していた、傷つけてはいけないから伝えられなかったと想う、心のすれ違いが歌詞から読み取れます。

 

 恋人に自分の気持ちを伝えらきれない男性の心理は様々な作品で描かれますが、客観的に描写する作風が、野口五郎さんの作品の魅力と感じています。

 壁の傷や改札口で待つ姿といった風景を歌い、聴き手に登場人物の心理を想像させたり、独特の比喩というか、詩的な例えを用いて聴き手に考えさせる作品が多いです。

 

 傷心のセンチメンタルな男性の心理を描く作品が多い野口五郎さんですが、久しぶりにヒットした「19:00の街」には、1つだけ気になる事があります。

 

 

 作品の内容から逸れてしまいますが、楽曲がバーブラ・ストライザンドさんの「ウーマン・イン・ラブ」に似ている、という事です。

 

 

 タイトルを入力すると、予測候補にパクリと表示されてしまうのですが、その原因となっているのが、「ウーマン・イン・ラブ」です。

 昭和55年に発売されましたが、日本ではヒットしていません。

 

 聴き比べると、確かに似ていると感じる作品です。私も初めて聞いた時はそっくりと感じてしまいました…。

 ですが、楽譜を見ても全く異なるメロディです。全くパクリではありません。

 

 では、なぜ「19:00の街」と「ウーマン・イン・ラブ」が似ていると感じるのでしょうか?

 

 素人の私が気になった点は3つあります。

 

 1つめは、イントロの1小節目のフレーズです。出だしのメロディを聴いただけで「一緒だ!」と感じるフレーズになっている事です。

 たった1小節でも聴き手に最も訴える曲の始まりが似ていたとすると、素人は同じと判断してしまいます。…実際は似ているだけです。

 

 2つめは、サビのコード進行です。Ⅰ⇒Ⅴの繰り返しから並行調のⅠ⇒Ⅴで終始する進行ですが、楽曲のサビは聴き手の記憶に残りやすく、曲の個性と感じる箇所ですので、この部分が似ていると、「同じ雰囲気だ!」と感じてしまいます。

 

 3つめは、ボーカルの歌唱です。どちらもサビに向けて、徐々に盛り上がっていく歌唱ですが、盛り上がるかどうか?を判断する際に、聴き手は最も高い声が出たときに盛り上がっていると感じます。

 「19:00の街」も「ウーマン・イン・ラブ」も、サビの部分でボーカルの最高音が登場するフレーズで構成されています。

 

 テンポが似ている事も似ていると感じる要素ですが、雰囲気が似ているだけであって、2曲とも似て非なる作品です。

 

 ただ、作曲された筒美京平さんは、「ウーマン・イン・ラブ」をご存知であり、あえて聴き手がパクリではないか?と感じさせる作品にされている、とは感じます(苦笑)。

 

 バンドプロデューサーの分析では、「19:00の街」はAマイナー(イ短調)、終盤は半音上がってB♭マイナー(変ロ短調)。

 「ウーマン・イン・ラブ」はD♯マイナー(嬰ト短調)です。いずれにせよ、どちらも良い曲と感じる作品です。

 

 

曲情報

 発売元:ポリドールレコード

 品番:7DX-1205

 A面

  「19:00の街」

 

 

 B面

  「誰かが私を愛してる」

 

 

 TBS系テレビ木曜座「誰かが私を愛してる」主題歌

 

 参考資料

 「19:00の街」レコードジャケット

 「ウーマン・イン・ラブ」レコードジャケット

 『歌謡曲大全集6』全音楽譜出版社

 『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン

 「you大樹」オリコン

 「バンドプロデューサー5」