ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「ノー・ノー・ノー」ザ・ヒューマン・ベインズ(昭和43年)

f:id:hitchartjapan:20190520215956j:plain

 

 今回は、音楽ではなくデザインに偏ってしまう内容かも知れません。昭和43年頃のレコード業界に目に見える形で登場した、大変奇妙な流行である“サイケデリック”と呼ばれるジャンルについて取り上げます。

 

 この流行は、レコードジャケットでの流行と捉えています。初めに登場したのは昭和42年のヒット曲、ジェファーソン・エアプレインさんの「あなただけを」です(下図:レコードジャケット抜粋)。

 

f:id:hitchartjapan:20190520223518j:plain


 画像の“あなただけを”のように、特徴的な輪郭の中に、文字がピッタリ収まるようにデザインをする手法が、日本のレコード業界で流行した“サイケデリック”です。

 

 このデザインが、昭和43年の日本でヒットしたレコードジャケットでもたくさん登場しました(下図)。

 

f:id:hitchartjapan:20190520224256j:plain f:id:hitchartjapan:20190520224259j:plain f:id:hitchartjapan:20190520224302j:plainf:id:hitchartjapan:20190520224306j:plain f:id:hitchartjapan:20190520224309j:plain f:id:hitchartjapan:20190520224254j:plain

 

 

 

 この流行がブームとなっていた時期に、ザ・ヒューマン・ベインズさんの「ノー・ノー・ノー」がヒットしました。

 昭和43年3月に発売され、順位は低かったもののロングセラー型の売れ方をしました。

 

 

 “サイケ”と略されるこの分野の定義を調べると、当時合法だった幻覚剤LSDを服用したときに見えてしまう幻覚と言いますか、要は“薬物による陶酔した感覚を表現しよう!”と試みたジャンルであるようです。

 

 幻覚が見えるような薬物を禁止するのは当然であると思いますが、LSDは2年後の昭和45年には危険な薬物に指定されました。

 

 世の中の様々な流行を吸収できるレコード音楽ですが、音楽作品に対してこの定義をした事は大変理解しがたいです。

 

 サイケデリックは、先ほどのようなレコードジャケットのデザインの中での流行であり、音楽性には何の関連性も無いと捉えています。

 

 

 

 薬物など無くとも、音楽には聴き手に中毒性を与える性質を備えている、と考えています。“好きでもないのに、なぜか頭の中で繰り返されるメロディ”や、“何度も同じ曲を聴きたくなる”といった経験は皆さんお持ちだと思います。

 

 「ノー・ノー・ノー」のようにテンポの良い楽曲も、「あなただけを」のように歌唱力を備えた楽曲も、表現に違いはありますが、聴き手の気持ちに高揚感を与えてくれます。

 

 バンドプロデューサーの分析では、「ノー・ノー・ノー」はDメジャー(ニ長調)です。演奏時間が短く、単純な繰り返しが印象的ですが、これは前年にヒットした「バラ・バラ」や「ハンキー・パンキー」のヒットの流れも汲んでいるように感じます。

 

 

曲情報

 発売元:東芝音楽工業株式会社

 品番:CR-1858

 

 A面

  「ノー・ノー・ノー」

  原題:NOBODY BUT ME

  演奏時間:2分16秒

 

 

 B面

  「スエノ」

  原題:SUENO

  演奏時間:2分12秒

 

参考資料

 「ノー・ノー・ノー」レコードジャケット

 「あなただけを」レコードジャケット

 「ケメ子の歌」レコードジャケット

 「花の首飾り」レコードジャケット

 「悲しくてやりきれない」レコードジャケット

 「サイモン・セッズ」レコードジャケット

 「愛のさざなみ」レコードジャケット

 「愛の奇跡」レコードジャケット

 『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン

 「バンドプロデューサー5」