昭和36年(1961年)に流行した「コーヒー・ルンバ」は、海外の作品です。
オリジナルは「MOLIENDO CAFE」と言う名前で、パラグアイの民族楽器であるアルパの一種で演奏される作品です。
レコードジャケットの解説によると、従来のハープより小型で、持ち運びが便利なインディアン・ハープと呼ばれる楽器です。
元々歌詞のない作品ですが、西田佐知子さんが日本語詞を載せて歌唱した作品が著名です。それをカバーした荻野目洋子さんの盤(1992年)や井上陽水さんの盤(2001年)も、やや話題となりました。時代をまたいで親しまれています。
「コーヒー・ルンバ」の売上ランキング推移
集計日付 | ウーゴ・ブランコさんの盤 | 西田佐知子さんの盤 |
昭和36年7月31日現在 | 4位 | |
昭和36年8月31日現在 | 2位 | |
昭和36年9月30日現在 | 1位 | |
昭和36年10月31日現在 | 1位 | 16位 |
昭和36年11月30日現在 | 1位 | 9位 |
昭和36年12月25日現在 | 3位 | 13位 |
昭和37年1月31日現在 | 3位 | 18位 |
昭和37年2月28日現在 | 5位 | 17位 |
昭和37年3月31日現在 | 10位 |
※『ミュージック・マンスリー』参照
演奏しているのはウーゴ・ブランコさん。グループ名となっているアルパ・ヴィアヘラ(Arpa Viajera)は冒頭にふれたアルパの一種です。パラグアイではなく、ベネズエラの楽器です。
西田佐知子さんの「コーヒー・ルンバ」は、伴奏の音色に硬さが感じられます。おそらく、当時の日本では、アルパという楽器や演奏できる方を見つける事は出来ず、ポリドール・オーケストラさんは、似た響きのする楽器を代用されたのでしょう。
ベネズエラの音楽は、日本人にとっては、どのような歌が流行っているのか、あまり情報が入って来ない国です。解説には「ポリドールがヴェネズエラのレコード会社と特別契約を結んでレコーディングしたものです。」と書かれています。
ポリドールさんはどうして「コーヒー・ルンバ」を発掘できたのだろう?と思っていました。
しかし、ベネズエラというよりも、面するカリブ海で発達した音楽であるカリプソが当時の日本では有名でした。
1957年、「バナナ・ボート」をきっかけにカリプソがブームとなり、その4年後に「コーヒー・ルンバ」がレコード化されています。
ブームが過ぎた後でも、ポリドールさんの誰かが「ベネズエラの民族楽器の音色は、日本人に親しみやすい」と、その国の音楽文化に気付いた事がきっかけで、長きにわたって日本で親しまれる作品が誕生したと言えます。
縁というか出会いというのは不思議だと感じます。1960年代は、海外で人気のなかった盤がヒットする事がありましたが、似たような経緯があるのだと思われます。
曲情報
演奏:ウーゴ・ブランコとそのアルパ・ヴィアヘラ
発売元:日本グラモフォン株式会社
品番:DP-1223
A面「コーヒー・ルンバ」
原題:Moliendo Cafe
演奏時間:2分50秒
B面「らんの花」
原題:Orquidea
演奏時間:2分25秒
歌:西田佐知子
発売元:日本グラモフォン株式会社
品番:DJ-1157
A面「欲望のブルース」
作詞:中沢清二
作曲:メッサー
編曲:川上義彦
B面「コーヒールンバ」
作詞:中沢清二
作曲:マンソ
編曲:川上義彦
ポリドール・オーケストラ
参考文献
「コーヒー・ルンバ」レコードジャケット
『ミュージック・マンスリー』月刊ミュジック社