ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「孤独の太陽」ザ・ウォーカー・ブラザース(昭和42年)

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流行時期(いつ流行った?)

 ザ・ウォーカー・ブラザースさんの「孤独の太陽(原題:IN MY ROOM)」は、昭和42年(1967年)にヒットしました。

 

 『レコードマンスリー』のランキングによると、1966年12月に発売された「孤独の太陽」は、1967年3月に最高順位を記録しています。

 

集計日付 順位
昭和42年1月 18位
昭和42年2月 7位
昭和42年3月 3位
昭和42年4月 4位
昭和42年5月 13位
昭和42年6月 27位

参考)『レコードマンスリー』今月のベスト・セラーズ(洋楽・邦楽ポピュラー)

 

 

 


ザ・ウォーカー・ブラザーズ/孤独の太陽In My Room (1966年)

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 UMG(Island Mercury の代理); PEDL, Warner Chappell, UNIAO BRASILEIRA DE EDITORAS DE MUSICA - UBEM, EMI Music Publishing, Rumblefish (Publishing), UMPG Publishing, SODRAC、その他 10 件の楽曲著作権管理団体の動画

 

 

邦題の魅力

 ”太陽”は1960年代のキーワードです。多くの作品で用いられ、”若者の未来”や”希望”の象徴として明るさを与える存在で描かれてきました。

 

 プラスの価値観を持つ”太陽”に対して、マイナスの意味合いを備える"孤独の"で形容した経緯は興味深いです。

 "孤独"という単語も1960年代では目新しい表現です。たいていは”ひとりぽっち”と表現されていました。

 

 (余談になりますが、「孤独の太陽」というタイトルの作品は、1965年に同名異曲で有田弘二さんが発売されています。しかし、音楽雑誌のランキングには名前が残っていないため、ヒットしたかどうかは不明です…(^_^;A。)

 

 「孤独の太陽」という邦題は、楽曲の雰囲気と一致していると感じます。曲を聴いていると、外に向けて発散するべき若いエネルギーが、自分自身の内面を責めているような暗い気分、若者が何かの事で葛藤している姿を想像してしまいます。

 

 ボーカルの音域が低めで始まっている事も、主人公の気分が沈んでいる様子を感じさせる要素になっていると感じます。

 

 

描かれる塞ぎ込んだ心理

 1967年末から1970年にかけての数年の間、「命かれても」(1967年)や「昭和ブルース」(1969年)等、時折、重苦しい雰囲気の作品がヒットチャートに登場しています。

 

 なぜ、そこまで思い詰めた心境が描かれたのかは分かりませんが、レコード会社も当時の雰囲気を感じ取って、楽曲の制作を企画されたのだと思います。

 

 この作品が表現する世界は、そのさきがけのように考えたりもします。

 

 

 私は個人的な感覚で、イギリスの音楽はアメリカに比べると陰のあるサウンドを持っている、と考えていますが、「孤独の太陽」は、そう考えさせる作品のうちの1つです。

 

 英国のビートルズさんの音楽がアメリカっぽさを感じるのに対して、米国で生まれたザ・ウォーカー・ブラザースさんの音楽がイギリスっぽさを備えている事は興味深いです。

 

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「孤独の太陽」はDマイナー(ニ短調)です。楽譜が見つからなかったので、音階は分かりません。

 

 歌詞カードの解説によると、イントロにはバッハさんの「トッカータとフーガ」が用いられています。

 

 また、原曲はカンツォーネで、ヴァーデル・スミスさんのデビュー曲「黒い太陽」(1966年)をカバーされているようです。

 

 

 ザ・ウォーカー・ブラザースさんの作品の魅力は、ボーカルの太くて伸びる声と思います。

 

 「孤独の太陽」が描く作品の世界観だけでなく、スコット・ウォーカーさんの歌唱も楽しめる作品になっていると感じます。

 

 

ヒット曲のその後

 「孤独の太陽」は、ザ・ウォーカー・ブラザースさんが日本でブレイクしたきっかけの作品です。「ダンス天国」も同時期にヒットしています。

 

 ヒットチャートで”2曲が同時にランクインする事”は、歌手に対する期待度の高さ、人気が急上昇している表れです。

 

 「ダンス天国」の解説では1967年8月には来日が予定されている事も書かれており、これから活躍が期待されていた矢先の5月、第一水曜日に正式に解散を発表しています。

 

 この解散報道は、日本にとっては突然の話で、当時のファンはかなり衝撃を受けたのではないか?と思います(>_<)。

 

(『ティーンビート』の記事によると、海外では前々から「解散するのではないか?」という話が広まっていたそうです。)

 

 

 後世、ザ・ウォーカー・ブラザースさんについて語られる事が少ない理由は、日本で表舞台に立った時期が、1967年の2月~5月のたった数ヶ月間という、短期間だったからかも知れません。

 

 

曲情報

1967年 年間7位(洋楽・邦楽ポピュラー)

 

レコード

 発売元:日本ビクター株式会社

 品番:SFL-1080

 

 A面

  「孤独の太陽」

  原題:IN MY ROOM

  演奏時間:2分30秒

 

 B面

  「心に秘めた想い」

  原題:(Baby) YOU DON'T HAVE TO TELL ME

  演奏時間:2分25秒

 

 

  ビートルズはもう古い!全米ヒット・パレードを驀進するウォーカー・ブラザース!!

 

  メンバー紹介

   ジョン・ウォーカー  楽器 ギター

   ゲイリー・ウォーカー 楽器 ドラムス

   スコット・ウォーカー 楽器 ベース・ギター

 

参考資料

 「孤独の太陽」レコードジャケット

 「ダンス天国」レコードジャケット

 『レコードマンスリー』日本レコード振興

 『洋楽シングルカタログ ビクター・フィリップス編』オールデイーズ

 『ティーンビート』1967年6月号 映画と音楽社

 「バンド・プロデューサー5」

「GTOでふっとばせ」ロニーとデイトナス(昭和39年)

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流行時期(いつ流行った?)

 ロニーとデイトナスさんの「GTOでふっとばせ」は、昭和39年(1964年)にヒットしました。

 

 『ミュージックマンスリー』の月間売上ランキングによると、1964年の10月、11月にヒットしています。

 

 

<売上ランキング推移>

年月 順位
昭和39年10月 9位
昭和39年11月 5位
昭和39年12月 10位

『ミュージックマンスリー』、今月のベストセラーズ(洋楽)より

 

 

 

同時期に流行った曲(昭和39年11月)

 洋楽では、映画『ブーベの恋人』のサウンドトラック盤が首位となっています。他には、アニマルズさんの「朝日のあたる家」シルヴィ・バルタンさんの「アイドルを探せ」ビートルズさんの「恋する二人」などがヒットしています。

 

 邦楽では、和田弘とマヒナ・スターズ、松尾和子さんの「お座敷小唄」が首位となっています。 他には、青山和子さんの「愛と死をみつめて」石原裕次郎さんの「俺はお前に弱いんだ」園まりさんの「何も云わないで」がヒットしています。

 

 

 


ロニー&ザ・デイトナスRonny & the Daytonas/G.T.O.でぶっとばせG.T.O. 1964 (1964年)

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 SME(Replay Records の代理); ARESA, UNIAO BRASILEIRA DE EDITORAS DE MUSICA - UBEM, Warner Chappell, BMI - Broadcast Music Inc., LatinAutor, CMRRA, PEDL, LatinAutor - Warner Chappell、その他 7 件の楽曲著作権管理団体

 

 

サーフィンからホットロッドへ

 1964年の洋楽では、エレキギターの演奏によるサーフィン・サウンドの流行がありました。アストロノウツさんの「太陽の彼方に」の大ヒットで、世間には“エレキ=サーフィン”というイメージが定着したのではないか?と推測されます。

 

 エレキギターの演奏が表現する疾走感を、夏のスポーツに形容したのが始まりと感じますが、1964年の日本では夏場の音楽という認識が存在していたのかも知れません。秋ごろからは、エレキインスト作品が姿を消しています。

 

 代わりに登場したのが、ホットロッドと呼ばれるジャンルです。

 

 「GTOでふっとばせ」はホットロッドのジャンルに該当する作品で、1964年の秋にヒットしています。

 

 

ホットロッドとは?

 レコードジャケットの解説によると、ホットロッドとは「ポンコツ車を買入れて、それに強力なエンジンをくっつけたり、自分たちの好みの色に塗りかえたりして、にぎやかに車を乗りまわすスポーツのこと」と紹介されています。

 

 改造した車を操縦する事がスポーツなのかどうかは疑問ですが、波から中古車に変わっただけで、スピード感を備えた遊びという点はサーフィンに共通していると感じます。

 

 音楽的にもサーフィンとあまり違いを感じません。当時、東芝さんが力を入れていたジャンルのようで、ビーチ・ボーイズさんの「リトル・ホンダ」も同時期にヒットしています。

 

 この時期に登場したホットロッドは、エレキギターの演奏曲ではなくボーカルが存在する楽曲です。サーフィンでもボーカルがある「サーフィンU.S.A」(1963年)がヒットしていますので、この違いは特に気にしなくても良いかもしれません。

 

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「GTOでふっとばせ」はEメジャー(ホ長調)です。終盤に転調があり、半音上のFメジャー(ヘ長調)になります。

 

 用いられている音階は全音階的長音階です。コード進行はⅠ、Ⅳ、Ⅴばかりでシンプルですが、Ⅰ7やⅣ7の“7の音”がメロディに度々用いられているように感じます。

 

 動画ではカットされていますが、イントロより前には、車にエンジンをかけてアクセル全開で発車する効果音から曲が始まります。

 また、間奏では猛スピードで駆け抜ける改造車のエンジン音が鳴り響き、曲の終わりは停車する音が吹き込まれています。

 この効果音はホットロッドを表現する重要な演出と感じます。

 

 

曲情報

1964年 年間25位(洋楽)

 

 

レコード

 発売元:東芝音楽工業株式会社

 品番:SR-1149

 

 

 A面

  「G.T.O.でふっとばせ」

  原題:G.T.O.

  演奏時間:2分39秒

 

 

 B面

  「ホット・ロッド・ベイビー」

  原題:HOT ROD BABY 

  演奏時間:2分3秒

 

 

参考資料

 「GTOでふっとばせ」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『永遠のポップス2』全音楽譜出版社

 「バンドプロデューサー5」

「007のテーマ」ジョン・バリー・セヴン楽団(昭和39年)

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流行時期(いつ流行った?)

 ジョン・バリー・セヴン楽団さんの「007のテーマ(ジェームズ・ボンドのテーマ)」は、昭和39年(1964年)にヒットしました。

 

 1964年5月に発売された『007/危機一発 サウンドトラック盤』のB面に収録されています。

 A面はマット・モンローさんの「ロシアより愛をこめて」です。

 

 『ミュージックマンスリー』の月間売上ランキングによると、「ロシアより愛をこめて」は、1964年の6月から10月にかけてヒットしています。

 

 

<「ロシアより愛をこめて」ランキング推移>

年月 順位
昭和39年05月 17位
昭和39年06月 5位
昭和39年07月 2位
昭和39年08月 4位
昭和39年09月 4位
昭和39年10月 7位
昭和39年11月 16位

『ミュージックマンスリー』、今月のベストセラーズの洋楽ポピュラーより

 

 

同時期に流行った曲(昭和39年7月~9月)

 洋楽では、アストロノウツさんの「太陽の彼方に」ボビー・ソロさんの「ほほにかかる涙」ジリオラ・チンクェッティさんの「夢みる想い」が首位となっています。

 

 海外の方が日本語で吹き込まれた作品も目立ちます。ミルバさんの「ウナセラ・ディ東京」ポールとポーラさんの「二人の星をさがそうよ」がヒットしています。

 ビートルズさんが登場した後の時期ですが、エルヴィス・プレスリーさんの人気もあるようで「ラスベガス万才」がヒットしています。

 

 邦楽では、三波春夫さんの「東京五輪音頭」橋幸夫さんの「恋をするなら」青山和子さんの「愛と死をみつめて」が首位となっています。

 他には、石原裕次郎さんの「俺はお前に弱いんだ」西田佐知子さんの「東京ブルース」がヒットしています。

 

 

 


James Bond 007 Theme Tune (original)

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 Entertainment One U.S., LP(Silva Screen Records の代理); BMI - Broadcast Music Inc., LatinAutor - SonyATV, UNIAO BRASILEIRA DE EDITORAS DE MUSICA - UBEM, PEDL, EMI Music Publishing, SOLAR Music Rights Management, LatinAutor、その他 9 件の楽曲著作権管理団体 一部を表示

 

 

 

1960年代に人気となった「007」シリーズ

  「ジェームズ・ボンドのテーマ」は、現在も続く「007」シリーズのテーマ曲となっているため、幅広い世代に知られている音楽と思われます。

 

 レコードで考えると、このテーマ曲が日本で有名になったのは1964年と推測されます。

 

 1963年5月に日本コロムビアさんから、アル・カイオラ楽団さんの「ジェイムズ・ボンドのテーマ」が発売されています。

 前年に公開された『007は殺しの番号』のサウンドトラック盤と考えられますが、ヒットはしていません。

 

 毎年、新作映画が公開されていたようで、翌1965年には「ゴールド・フィンガー」、1967年には「007は二度死ぬ」のサウンドトラック盤がヒットしています。

 (1966年の「サンダーボール作戦」は、それほどヒットしていません。)

 

 

 

シリーズ2作目に収録された「007」テーマ曲

 1964年に公開された『ロシアより愛をこめて』は、007シリーズの映画化第2弾の作品で、当時は『007/危機一発』という邦題で上映されています。

 

 この映画が人気を集めたのであれば、テーマ曲が収録されているであろう第1作のサウンドトラック盤に人気が集まっても良さそうですが、なぜかB面に収録されています。

 

 東芝音楽工業さんは、シリーズ第1弾のサウンドトラック盤を発売されていません。おそらく第2作でも用いられた「ジェームズ・ボンドのテーマ」が人気になる事を予想して、他社のレコードに人気を取られないように、あえてB面に収録したのかも知れません。

 

 両A面と捉えても良いくらいの内容で、当時人気を集めたのではないか、と推測されます。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「ジェームズ・ボンドのテーマ」はBマイナー(ロ短調)です。

 

 この作品がヒットしていた時期、日本ではエレキギターの演奏曲が人気となっています。

 「心のときめき」や「太陽の彼方に」がヒットしていましたが、この「ジェームズ・ボンドのテーマ」も、当時エレキギターを練習していた若者のレパートリーに含まれていたのかな?と考えたりします。

 

 

 エレキギターの演奏は同じ繰り返しながら、メロディに用いる音を半音ずらすなどして不安定さを生み出し、聴き手に緊張感を与えている気がします。

 

 エレキインストが終わると、楽団の演奏が始まる二部構成になっています。

 

 曲の後半で気分を盛り上げようとする仕掛けになっていると思いますが、2分に満たない短い時間のあいだで行われています。

 一度聴くだけ印象に残る、大胆なパフォーマンスをしていると感じる作品です。

 

 

曲情報

1964年 年間1位(洋楽ポピュラー)

 

レコード

 発売元:東芝音楽工業株式会社

 品番:OR-1057

 

 007/危機一発 サウンド・トラック盤

 

 A面

  「ロシアより愛をこめて」

  英題:FROM RUSSIA WITH LOVE

  作曲:ライオネル・バート

  歌:マット・モンロー

  演奏時間:2分33秒

 

 

 B面

  「007(ジェームズ・ボンド)のテーマ」

  英題:THE JAMES BOND THEME

  作曲:モンティー・ノーマン

  演奏:ジョン・バリー・セヴン楽団

  演奏時間:1分57秒

 

 

参考資料

 「ロシアより愛をこめて」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『洋楽シングルカタログ 東芝編』オールデイーズ

 『洋楽シングルカタログ コロムビア編』オールデイーズ

 『【ピアノ・ソロ】映画音楽百選』ケイ・ピー・エム

 「バンドプロデューサー5」

「シンシアのワルツ」パーシイ・フェイス管弦楽団(昭和31年)

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流行時期(いつ流行った?)

 パーシイ・フェイス管弦楽団パーシー・フェイス・オーケストラ)さんの「シンシアのワルツ」は、昭和31年(1956年)にヒットしました。

 

 『ダンスと音楽』の月間売上ランキングによると、SP盤が1956年の8月から11月にかけてヒットしています。

 EP盤は昭和31年9月に発売されていますが、昭和32年から集計が始まっているため、同時期に人気だったかどうかはわかりません。

 

 10年後の昭和42年5月に、再びランクインしています。レコードが再発売されたのでしょうか。

 

 

<「シンシアのワルツ」ランキング推移>

年月 SP盤 EP盤
昭和31年08月 7位 -
昭和31年09月 5位 -
昭和31年10月 5位 -
昭和31年11月 7位 -
昭和31年12月 11位 -
昭和32年01月 12位 6位
昭和32年02月 13位 8位
昭和32年03月 圏外 8位
昭和42年05月 - 13位

『ダンスと音楽』より

 

 

同時期に流行った曲(昭和31年9月、10月)

 スリー・サンズさんの「誇り高き男」が首位となっています。

 

 他には、ドリス・デイさんの「ケ・セラ・セラ」エルヴィス・プレスリーさんの「ハートブレイク・ホテル」などがヒットしています。

 

 

 


シンシアのワルツ(A Waltz For Cynthia)/パーシー・フェイス楽団

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 SME(TP4 Music の代理)

 

 

 

深夜のラジオ番組からヒット

 レコードジャケットの解説によると、ラジオ放送局のニッポン放送で、深夜11時40分から放送されていた『ひとみの囁き』という番組のテーマ音楽に使用されていたようです。

 聞いた事の無い番組名で、「シンシアのワルツ」がオープニング曲として流れていたのか、エンディング曲だったのかは分かりません。

 

 B面の「恋をして」もラジオ番組のテーマ音楽ですが、こちらは『L盤アワー』です。

 

 ジャケットに“『L盤アワー』テーマ音楽”と印字されていますので、『L盤アワー』の方が人気番組だったと推測されます。

 

 今でいうタイアップ曲と言えますが、なぜかマイナーな番組のテーマ音楽に人気が集まった事は興味深いです。

 

 

 昭和31年の日本では、深夜のラジオ番組から「シンシアのワルツ」が流れていたという事になります。

 

 その事実を知ったうえで改めて聴くと、当時の世の中はどのような雰囲気だったのか?と色々思い浮かべてしてしまいます。

 『ひとみの囁き』はどのような番組内容だったのか、深夜に番組を聞いていた人たちはどういった方々だったのでしょうか。

 

 

もともとは映画主題歌

 ラジオ番組がきっかけで日本で知れ渡るようになった「シンシアのワルツ」は、もともとは、短編映画"A Prince For Cynthia"の主題曲である、という説明も書かれています。

 

 映画のタイトルが邦題で記載されておらず、『ダンスと音楽』で★マーク(映画関連の曲に付けられるマーク)が付いていない事から、日本では未公開だった映画のようです。

 

 当時の洋楽は、映画を通じてヒットする作品が多かったですが、ラジオ番組をきっかけに人気となった事がこの作品の特徴です。

 

 映画やラジオ番組とメディアが何であれ、ふと流れてきた「シンシアのワルツ」の作品の良さが、多くの人たちに伝わったのだと考えられます。

 

 深夜という時間帯も、曲の雰囲気を演出する効果があったのかも知れません。にぎやか過ぎず、落ち着いたサウンドは夜の静寂に合っていると感じます。

 

 

楽団が演奏する曲

 ラジオ時代は、オーケストラが奏でる演奏曲のヒットが目立ちます。

 

 ヒットした作品に共通するのは、一度聞くだけで覚えられるくらいの分かりやすさを備えている事です。そのシンプルなメロディを楽団で演奏している事です。

 

 大人数で演奏すると、シンプルなメロディでも、様々な楽器の音色を重ねる事でハーモニーが生まれ、複雑な構成、聴きごたえのあるサウンドになると感じます。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「シンシアのワルツ」はDマイナー(ニ短調)です。 

 

 途中から始まるオーボエのソロ演奏、奏者はミッチ・ミラーさんと書かれています。

 

 「シンシアのワルツ」の2年後に「クワイ河マーチ」がヒットする事になる方ですが、ミッチ・ミラーさんは米国コロムビアの文芸部長という肩書で紹介されています。

 

 レコード会社での文芸部長の職務が何かは全く分かりませんが、名前が記載されているという事は、当時レコード会社が売り出し中のアーティストだったのかもしれません。

 

 

 

曲情報

 発売元:コロムビア・レコード

 品番:LL-1

 

 A面

  「シンシアのワルツ」

  英題:A WALTZ FOR CYNTHIA

  作曲:グランツベルク

 

 

 B面

  「恋をして」

  英題:IN LOVE

  作曲:マスケローニ

 

  「L盤アワー」テーマ音楽

 

 

 

参考資料

 「シンシアのワルツ」レコードジャケット

 『ダンスと音楽』ダンスと音楽社

 「バンドプロデューサー5」

昭和40年(1965年)のヒット曲ランキング(洋楽)

オリコン以前のレコード売上集計

 オリコンの集計が始まる以前にも、レコードの売上ランキングが存在します。企業ではなく、雑誌の出版社によるランキングです。

 

 『ミュージック・ライフ』、『ミュージックマンスリー』、『ジュークボックス』、『ダンスと音楽』など、様々な雑誌で、ランキングが掲載されています。もしかしたら、他にもあるかも知れません。

 

 ほとんどの雑誌社が残念ながら倒産してしまったようで、この中で有名なのは、現在も企業活動されているシンコー・ミュージックさんの『ミュージック・ライフ』と思います。

 

 各雑誌のランキング集計で共通する事は下記の点です。

 ①週間ではなく、月間のランキングである事

 ②全国の主要なレコード店に問い合わせて、各店舗で1位=10点、2位=9点、という採点で最終的な合計をランキングしている事

 ③洋楽盤と邦楽盤を別々に集計している事

 ④順位は上位2、30位までになっている事

 ⑤誤表記が目立つ事

 

 統計的に有効な規模の集計かどうか?は不明ですが、当時の流行を把握できるため、貴重な資料であると感じます。

 

 

 今回は、『ミュージックマンスリー』に掲載されている洋楽ポピュラーの月間ランキングを参考に、1位=30点、2位=29点と採点した結果を年間ランキングとして掲載します。

 

 曲名や歌手名のリンクをクリックすると、当ブログの記事に移動します。

 

▼邦楽は下記になります。

 

 

昭和40年(1965年)のランキング(洋楽)

順位 曲名 歌手名 品番 発売月 登場月数
1 ダイヤモンド・ヘッド ベンチャーズ LR-1177 1965.01 10
2 キャラバン ベンチャーズ LR-1242 1965.05 8
3 真珠貝の歌 ビリー・ヴォーン楽団 JET-1485 1965.03 7
4 涙の太陽 エミー・ジャクソンとスマッシュメン LL-742-JC 1965.04 7
5 10番街の殺人 ベンチャーズ LR-1186 1965.02 6
6 夢見るシャンソン人形 フランス・ギャル FL-1173 1965.09 5
7 ロック・アンド・ロール・ミュージック ビートルズ OR-1192 1965.02 5
8 夜霧のしのび逢い クロード・チアリ OR-1292 1965.08 5
9 悲しき願い アニマルズ OR-1220 1965.04 6
10 ヘルプ ビートルズ OR-1412 1965.08 5
11 ド・レ・ミの歌 ジュリー・アンドリュースと子供たち SS-1532 1965.05 6
12 スイムでいこう! エルヴィス・プレスリー SS-1534 1965.05 5
13 クルーエル・シー ベンチャーズ LR-1300 1965.08 5
14 砂に消えた涙 ミーナ FON-1041 1965.01 4
15 涙の乗車券 ビートルズ OR-1261 1965.05 4
16 夜空のトランペット ニニ・ロッソ JET-1550 1965.08 4
17 のっぽのサリー ビートルズ OR-1155 1965.02 4
18 アイドルを探せ シルヴィ・バルタン SS-1476 1964.11 3
19 カレン ザ・サファリーズ DS-378 1965.02 4
20 太陽を探せ デル・シャノン SR-1185 1965.02 3
21 ある晴れた朝突然に サウンドトラック盤 FL-1170 1965.08 4
22 涙くんさよなら ジョニー・ティロットソン DM-1042 1965.09 3
23 ダイナマイト クリフ・リチャード OR-1215 1965.05 3
24 霧のカレリア スプートニクス DP-1449 1965.11 3
25 君に涙とほほえみを ボビー・ソロ HIT-1185 1965.03 3
26 ノー・リプライ ビートルズ OR-1189 1965.02 3
27 ほほにかかる涙 ボビー・ソロ HIT-1038 1964.04 3
28 太陽のスイム サウンドトラック盤 HIT-477 1965.04 3
29 霧の中の少女 ペギー・マーチ SS-1489 1964.12 3
30 アンジェリータ ロス・マルチェロス JET-1488 1965.02 2
31 ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー ブレンダ・リー DS-385 1965.03 3
32 若さをつかもう デイヴ・クラーク・ファイヴ OR-1318 1965.10 3
33 クライング・イン・ザ・チャペル エルヴィス・プレスリー SS-1557 1965.08 2
34 朝日のあたる家 アニマルズ OR-1146 1964.10 2
35 ラヴ・ポーション・ナンバー・ナイン ザ・サーチャーズ LL-646-Y 1964.09 2
36 明日を忘れて コニー・フランシス DM-1053 1965.10 3
37 ゴールドフィンガー ジョン・バリー楽団 LL-709-UA 1965.02 3
38 チッキン・オブ・ザ・シー ゴー・ゴーズ SS-1528 1965.05 3
39 ディジー・ミス・リジー ビートルズ OR-1418 1965.09 3
40 パラダイス・ア・ゴー・ゴー ベンチャーズ LR-1432 1965.11 2
41 アイ・フィール・ファイン ビートルズ OR-1179 1965.01 2
42 青い渚をぶっとばせ ベンチャーズ LR-1199 1965.06 2
43 哀愁のカレリヤ ザ・フィーネーズ FL-1196 1965.11 2
44 オン・ザ・ビーチ クリフ・リチャード OR-1281 1965.06 2
45 ブーベの恋人 サウンドトラック盤 FON-1038 1964.10 2
46 夢のマリナー号 ベンチャーズ LR-1243 1965.05 2
47 恋のダウンタウン ペトゥラ・クラーク US-105 1965.04 2
48 サティスファクション ザ・ローリング・ストーンズ HIT-511 1965.08 2
49 ジングル・ベル ベンチャーズ LR-1440 1965.11 2
50 チェッチェッチェッ アストロノウツ SS-1524 1965.03 2
51 恋のダイヤモンド・リング ゲーリー・ルイスとプレイボーイズ LR-1223 1965.03 2
52 ミセス・ブラウンのお嬢さん ハーマンズ・ハーミッツ OR-1272 1965.06 2
53 ある晴れた朝突然に ミッシェル・マーニュ楽団 OR-1282 1965.06 2
54 夢見るシャンソン人形(日本語) フランス・ギャル FL-1200 1965.09 2
55 イエスタディ ビートルズ OR-1437 1965.11 2
56 ナポリは恋人 ジリオラ・チンクェッティ HIT-1161 1965.01 2
57 ゴールドフィンガー シャーリーバッシー OR-1188 1965.04 2
58 想い出のタンゴ ブレンダ・リー DS-361 1964.10 2
59 夜霧のしのび逢い グレーム・バートレット FL-1177 1965.09 2
60 ヘンリー8世君 ハーマンズ・ハーミッツ OR-1316 1965.08 2
61 ミスター・ロンリー ボビー・ヴィントン LL-701-E 1965.01 2
62 やさしくしてね パティ・デューク LL-803-UA 1965.09 2
63 若草の恋 カトリーヌ・スパーク HIT-1176 1965.02 2
64 あこがれはいつも心に ジリオラ・チンクェッティ HIT-1187 1965.03 2
65 いかすぜこの恋 エルヴィス・プレスリー SS-1567 1965.07 2
66 誰かが誰かを恋してる ディーン・マーティン JET-1439 1964.10 1
67 恋のアドバイス ビートルズ OR-1426 1965.10 1
68 一人ぼっちの世界 ザ・ローリング・ストーンズ HIT-568 1965.11 1
69 踊り明かそう(マイ・フェア・レディ) サウンドトラック盤 LL-652-C 1964.09 1
70 マッチ・ボックス ビートルズ OR-1156 1964.11 1
71 そよ風にのって マージョリー・ノエル HIT-1250 1965.09 1
72 ホワイト・クリスマス パット・ブーン DOT-1031(JET-1294) 1963.11 1
73 シーズ・ノット・ゼア ザ・ゾンビーズ HIT-422 1964.12 1
74 誘惑されて棄てられて サウンドトラック盤 DP-1390 1964.10 1
75 可愛いいマリア ペギー・マーチ SS-1506 1965.03 1
76 わたしを愛して シルヴィ・バルタン SS-1507 1965.03 1
77 踊ろよ、ベイビー ビーチ・ボーイズ CR-1251 1965.04 1
78 瞳に太陽 ボビー・ソロ HIT-1226 1965.07 1
79 夢見る想い ジリオラ・チンクェッティ HIT-1040 1964.04 1
80 ジョニーはどこに シルヴィ・バルタン SS-1544 1965.06 1
81 スウィンギン・クリーパー ベンチャーズ LR-1310 1965.09 1
82 ホワイト・クリスマス ビング・クロスビー DS-70 1957.10 1
83 恋する二人 ビートルズ OR-1139 1964.09 1
84 リトル・ホンダ ビーチ・ボーイズ CR-1153 1964.10 1
85 ゴールドフィンガー ザ・ゴールド・フィンガーズ FL-1150 1965.04 1
86 イパネマの娘 アストラッド・ジルベルト DM-1031 1965.06 1
87 かわいい小鳥 ザ・ナッシュヴィル・ティーンズ HIT-500 1965.07 1
88 星空の彼方に ザ・シャンティズ JET-1574 1965.11 1
89 急がば回れ ベンチャーズ LR-1043 1964.03 1
90 黒いブーツに黒バイク ザ・ホンデルズ M-1096 1965.03 1
91 アイ・ゴー・トゥー・ピーセス ピーターとゴードン OR-1217 1965.04 1
92 さすらいのジョニー ジョニー・ハリディ FL-1164 1965.07 1
93 夕陽の渚 ザ・シャンティズ JET-1530 1965.06 1

 

1960年代ヒット曲ランキング・一覧

1960年 邦楽レコード 洋楽ポピュラー (調査中)
1961年 邦楽レコード 洋楽ポピュラー ランキング
1962年 邦楽レコード 洋楽ポピュラー ランキング
1963年 邦楽 洋楽ポピュラー ランキング
1964年 邦楽 洋楽ポピュラー ランキング 
1965年 邦楽 洋楽ポピュラー ランキング
1966年 邦楽 洋・邦楽ポピュラー (調査中)
1967年 歌謡曲 洋・邦楽ポピュラー ランキング
1968年 歌謡曲 洋・邦楽ポピュラー 一覧
1969年 歌謡曲 洋・邦楽ポピュラー 一覧

 

 

参考資料

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『洋楽シングルカタログ コロンビア編』

 『洋楽シングルカタログ キング編』

 『洋楽シングルカタログ 東芝編』

 『洋楽シングルカタログ ビクター・ワールドグループ編』

 『洋楽シングルカタログ RCA編』

 『洋楽シングルカタログ ビクター・フィリップス編』

 『洋楽シングルカタログ 日本グラモフォン編』

 『洋楽シングルカタログ テイチク編』

昭和39年(1964年)のヒット曲ランキング(洋楽)

オリコン以前のレコード売上集計

 オリコンの集計が始まる以前にも、レコードの売上ランキングが存在します。企業ではなく、雑誌の出版社によるランキングです。

 

 『ミュージック・ライフ』、『ミュージックマンスリー』、『ジュークボックス』、『ダンスと音楽』など、様々な雑誌で、ランキングが掲載されています。もしかしたら、他にもあるかも知れません。

 

 ほとんどの雑誌社が残念ながら倒産してしまったようで、この中で有名なのは、現在も企業活動されているシンコー・ミュージックさんの『ミュージック・ライフ』と思います。

 

 各雑誌のランキング集計で共通する事は下記の点です。

 ①週間ではなく、月間のランキングである事

 ②全国の主要なレコード店に問い合わせて、各店舗で1位=10点、2位=9点、という採点で最終的な合計をランキングしている事

 ③洋楽盤と歌謡曲盤を別々に集計している事

 ④順位は上位2、30位までになっている事

 ⑤誤表記が目立つ事

 

 統計的に有効な規模の集計かどうか?は不明ですが、当時の流行を把握できるため、貴重な資料であると感じます。

 

 

 今回は、『ミュージックマンスリー』に掲載されている洋楽ポピュラーの月間ランキングを参考に、1位=30点、2位=29点と採点した結果を年間ランキングとして掲載します。

 同じ点数になった場合は順不同でランキングしています。

 

 曲名や歌手名のリンクをクリックすると、当ブログの記事に移動します。

 

▼歌謡曲部門は下記になります。

 

 

昭和39年(1964年)のランキング(洋楽ポピュラー)

順位 曲名 歌手名 品番 登場月数
1 ロシアより愛をこめて/007のテーマ マット・モンロー/ジョン・バリー・セヴン楽団 OR-1057 7
2 夢見る想い ジリオラ・チンクェッティ HIT-1040 6
3 太陽の彼方に アストロノウツ SS-1428 6
4 ラ・ノヴィア トニー・ダララ HIT(S)-53 6
5 花はどこへいった キングストン・トリオ CR-1051 6
6 ほほにかかる涙 ボビー・ソロ HIT-1038 6
7 恋はスバヤク ガス・バッカス DP-1329 5
8 ラスベガス万才 エルヴィス・プレスリー SS-1427 6
9 心のときめき ウイリーと彼のジャイアント US-57 8
10 プリーズ・プリーズ・ミー ビートルズ OR-1024 5
11 抱きしめたい ビートルズ OR-1041 5
12 ワシントン広場の夜はふけて ヴィレッジ・ストンパーズ LL-6010 4
13 ブーベの恋人 サウンドトラック盤 FON-1038 4
14 ポエトリー ジョニー・ティロットソン HIT-1030 5
15 恋のパーム・スプリングス トロイ・ドナヒュー 7B-32 4
16 恋する二人 ビートルズ OR-1139 4
17 ビートルズがやって来る ビートルズ OR-1119 4
18 マイ・ボニー ビートルズ DP-1351 5
19 ドミニク スール・スーリール FL-1111 4
20 プリーズ・ミスター・ポストマン ビートルズ OR-1102 4
21 ウナセラディ東京 ミルバ HIT-1076 4
22 二人の星をさがそうよ ポールとポーラ FL-1130 4
23 女と男のいる舗道 ロジェ・フランス楽団 HIT-244 4
24 朝日のあたる家 アニマルズ OR-1146 3
25 GTOでふっとばせ ロニーとデイトナス SR-1149 3
26 サスピション テリー・スタッフォード HIT-360 3
27 ぼくのマシュマロちゃん ジョニー・シンバル KR-1017 3
28 若さを歌おう ベルト・ケンプフェルト楽団 DP-1368 4
29 ネイビーブルー ダイアン・リネイ JET-1373 3
30 我が心のサンフランシスコ フランク・シナトラ JET-1165 3
31 スエーデンの城 サウンドトラック盤 HIT-1097 3
32 想い出のサンフランシスコ ブレンダ・リー DS-292 3
33 アイドルを探せ シルヴィ・バルタン SS-1476 2
34 愛しのラナ ザ・ヴェルベッツ HIT-200 2
35 誰かがだれかを愛してる ディーン・マーティン JET-1439 3
36 ビコーズ デイヴ・クラーク・ファィヴ OR-1140 3
37 アカプルコの海 エルヴィス・プレスリー SS-1413 3
38 マッチ・ボックス ビートルズ OR-1156 2
39 ツイスト・アンド・シャウト ビートルズ OR-1078 2
40 レッツ・メイク・ア・メモリー クリフ・リチャード OR-1011 2
41 急がば回れ ベンチャーズ LR-1043 3
42 暗い港のブルース モダン・プレイボーイズ DP-1303 3
43 ジャワの夜は更けて アル・ハート楽団 SS-1423 3
44 北京の55日 ブラザーズ・フォア LL-473 2
45 あたしのベビー ザ・ロネッツ HIT-233 2
46 マイ・フェア・レディ サウンドトラック盤 LL-652-C 2
47 プリンセス・プリンセス ジョニー・ティロットソン HIT-229 2
48 シー・ラブズ・ユー ビートルズ OR-1058 2
49 リトル・ホンダ ビーチ・ボーイズ CR-1153 2
50 夢のお月さま ヴェルヴェッツ HIT-289 2
51 マイ・ボーイ・ロリポップ ミリー・スモール FL-1133 2
52 アンド・アイ・ラブ・ハー ビートルズ OR-1145 2
53 花はどこへいったの レノン・シスターズ JET-1372 3
54 すてきなメモリー ジョニー・ソマーズ 7B-31 2
55 誘惑されて棄てられて サウンドトラック盤 DP-1390 2
56 カム・バック・トゥー・ミー ロイ・オービソン HIT-270 2
57 自由の賛歌 ケネディ大統領とコーラス JET-1319 2
58 ミスター・ベースマン ジョニー・シンバル KP-70 1
59 パイプライン ベンチャーズ LR-1080 2
60 悲しきラグ・ドール ザ・フォー・シーズンス FL-1134 2
61 淋しいだけじゃない クリフ・リチャード OR-1063 2
62 いとこにキッス エルヴィス・プレスリー SS-1454 2
63 バイ・バイ・バーディー アン・マーグレット SS-1352 1
64 悲しき悪魔 エルヴィス・プレスリー SS-1361 1
65 サーフ・パーティー アストロノウツ SS-1444 1
66 霧の中の少女 ペギー・マーチ SS-1489 1
67 想い出のサンフランシスコ ジュリー・ロンドン LIB-52 1
68 アンジェリータ ロス・マルチェロス JET-1488 1
69 女王蜂 サウンドトラック盤 HIT-84 1
70 おお、プリティウーマン ロイ・オービソン HIT-400 1
71 ボサ・ノヴァ・ベビー エルヴィス・プレスリー SS-1387 1
72 ホット・ロッド・パーティー アストロノウツ SS-1467 1
73 ハロー・ドリー アームストロング KR-1060 1
74 愛なき世界 ピーターとゴ-ドン OR-1111 1
75 ワシントン広場の夜は更けて スパイク・ジョーンズ楽団 LR-1012 1
76 ヒッピー・ヒッピー・シェイク スウィンギング・ブルー・ジンズ OR-1090 1
77 ハートでキッス コニー・フランシス LL-612-M 1
78 ラヴィング・ユー・ベイビー エルヴィス・プレスリー SS-1497 1
79 太陽は傷だらけ ロベール・モノー楽団 HIT-212 1
80 ダンケ・シェーン コニー・フランシス LL-5033 1
81 サミー南へ行く サウンドトラック盤 HIT-351 1
82 ユー・リアリー・ゴット・ミー ザ・キンクス LL-678-Y 1
83 大脱走マーチ サウンドトラック盤 LL-453 1
84 キャント・バイ・ミー・ラブ ビートルズ OR-1076 1
85 キス・ミー・クイック エルヴィス・プレスリー SS-1438 1
86 七つの水仙 ブラザース・フォア LL-616-C 1
87 セーラー・ボーイ シェリー・シスターズ LL-641-E 1
88 砂に消えた涙 ミーナ FON-1041 1
89 サーフィンUSA ビーチ・ボーイズ 7P-285 1
90 太陽の彼方に ザ・サファリーズ DS-345 1
91 ホワッド・アイ・セイ レイ・チャールズ JET-1380 1
92 500マイルもはなれて キングストン・トリオ CR-1137 1

 

1960年代ヒット曲ランキング・一覧

1960年 邦楽レコード 洋楽ポピュラー (調査中)
1961年 邦楽レコード 洋楽ポピュラー ランキング
1962年 邦楽レコード 洋楽ポピュラー ランキング
1963年 邦楽 洋楽ポピュラー ランキング
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1967年 歌謡曲 洋・邦楽ポピュラー ランキング
1968年 歌謡曲 洋・邦楽ポピュラー 一覧
1969年 歌謡曲 洋・邦楽ポピュラー 一覧

 

 

参考資料

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

「Femme Like U (Donne-moi ton corps)」K-Maro(2004年)

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流行時期(いつ流行った?)

 K-Maro(カマロ)さん「Femme Like U (Donne-moi ton corps)」は2004年のフランスでヒットしました。

 

 TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、2004年5月末から9月初めにかけてヒットしています。

 

 当時は、フランスでも人気だったO-ZONEさんの「Dragostea din teï」(邦題:恋のマイアヒ)に首位の座を阻まれ続けていましたが、7月末に1週間だけ首位を獲得しています。

 

 

その頃、日本では…

 オリコンランキングによると、Mr.Childrenさんの「Sign」ORANGE RANGEさんの「ロコローション」サザンオールスターズさんの「君こそスターだ」などが首位を獲得しています。

 

 ほかには、平井堅さんの「瞳をとじて」nobodyknows+さんの「ココロオドル」氷川きよしさんの「番場の忠太郎」ゆずさんの「栄光の架橋」柴崎コウさんの「かたちあるもの」などがヒットしています。

 

 『世界の中心で愛を叫ぶ』がブームになっていた時期で、関連するヒット曲が登場していると感じる時期です。

 

 

 


K'Maro - Femme like u HD 720p

 

 

英語とフランス語が混じった歌詞

 「Femme Like U」というタイトルから、フランス語と英語が混じっていると感じますが、歌詞でも、ところどころに英語が用いられている作品になっています。

 私はどちらの言語も勉強不足なので、聴いていても違和感はありません(^_^;A。

 

 これまで聴いた作品の中では、デュエット曲ならば、一人がフランス語で、もう一人が他の国の言語という構成になっているものは聴いた事があります。

 

 しかし、英語ならば英語だけ、フランス語ならばフランス語だけ、という作品がほとんどです。

 1人が歌う作品の中で、2か国語が合わさった歌詞の作品は、フランスのヒット曲ではあまり耳にした事がありません。

 

 

 おそらく「Femme Like U」の他には、英語とフランス語が混じったヒット曲が他に見当たらないため、言葉の響きに新鮮さを覚えてヒットしたと思われます。

 

 日本のヒット曲では、英語詞が混じる作品が多数存在します。90年代に特に多い印象があり、特に目新しさは感じません。

 おそらく、ヨーロッパ圏は英語との言語の発祥の距離感が近いため、英語で歌うとカッコイイと感じる割合が日本と比べて低いのかも知れません。

 

 

フランス人は英語が不得意?

 フランスのヒット曲を聴いていて、いまだに疑問に感じている事は、「フランス人は英語を理解し、話すことが出来るのか?」という点です。

 

 これまで取り上げてきた作品の中には、歌詞が英語だけの作品もあります。フランス人は歌詞の意味を読み取れているのか?と感じますが、おそらく英語教育が無い状態では、英語を理解できる方は少ないように思います。

 

 私の推測ですので根拠はありませんが、日常で用いる言語が英語ではなければ、学習する必要がありますので、非英語圏の国で、英語を流ちょうに話せる人は少ないと考えています。

 話せるとしたら、教育を受けて勉強した方だと思います。

 

 

 しかし、語源が近しい国であれば、文法に大きな違いも無く、単語の綴りが少し違うだけで、なんとなく意味を理解する事が出来るのかも知れません。

 

 この差は大きいと感じます。日本では、英語は一から学ばなければ理解する事は出来ませんが、フランスではその差が小さく、少し学ぶだけで済むのではないか?と思われます。

 英語が分からなくても聴けば何となく分かる、というのがフランス人の英語力かな?と考えています。

 

 日本のように、歌詞の途中で英語詞が挟まれる楽曲がヒットチャートにほぼ登場しないのは、作詞においては英語がカッコいいとか、意味をぼやけさせるために用いるという価値観は無く、作曲面ではメロディラインに乗せる言語を、あえてフランス語から英語にする必要が無い、という考え方が推測できます。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「Femme Like U」はE♭マイナー(変ホ短調)です。

 

 「Femme Like U」はラップ詞の作品で、英語が混じってもリズム感が損なわれない聴き心地を目指すために、あえて英語を取り入れているという印象を受けます。

 ただ、それほど英語を用いている印象も受けません(^_^;A。

 

 女性コーラスの部分が多いので、私はデュエットというかフィーチャリング作品と感じますが、K-Maroさんのソロ名義の作品です。

 

 クレジットに記載されているNancy Martinezさんがコーラスを担当されているようです。曲の何割かを占める存在感のあるコーラスなので、連名にしてもいいのに、と思います(^_^;A。

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「you大樹」オリコン

 「Femme Like U」CDジャケット

 「バンドプロデューサー5」

「Manhattan-Kaboul」Renaud & Axelle Red(2002年)

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流行時期(いつ流行った?)

 Renaud(ルノー)さんとAxelle Red(アクセル・レッド)さんのデュエット曲「Manhattan-Kaboul」は2002年のフランスでヒットしました。

 

 TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、Renaud & Axelle Redさんの「Manhattan-Kaboul」は、2002年8月から11月上旬にかけてヒットしています。

 

 お二人とも、フランスではすでに実績を残されており、知名度の高いアーティストです。作品の製作意図に共感されて誕生した楽曲のようです。

 

 

その頃、日本では…

 オリコンランキングによると、浜崎あゆみさんの「independent」「Voyage」平井堅さんの「大きな古時計」が首位を獲得しています。

 

 他には、MISIAさんの「眠れぬ夜は君のせい」氷川きよしさんの「星空の秋子」BoAさんの「VALENTI」がヒットしています。

 

 また、MINMIさんの「The Perfect Vision」がヒットし始めています。

 

 それぞれの作品が人気になった理由は異なるにせよ、リバイバルブームやラップ音楽の流行、浜崎あゆみさんや氷川きよしさんの人気など、支持層が異なるジャンルで多彩なヒット曲が誕生している印象を受けます。

 

 

 


Renaud - Manhattan Kaboul (Clip Officiel)

 

 

アメリカ同時多発テロ(9.11)が題材の反戦歌

 この作品は、2001年に起きた同時多発テロを題材にしています。タイトルの「Manhattan-Kaboul」は、テロの標的となったWTCがあるマンハッタンと、テロを首謀した容疑者の引き渡しを拒否した事により報復で空爆されるアフガニスタンの首都であるカブールの地名になっています。

 

 プロモ映像は、冒頭では事件が報道される前のフランスの日常が表現されています。しかし、2分を過ぎたあたりで、ラジオやテレビで、ワールドトレードセンター(WTC)に旅客機が衝突した事件の速報が報道されます。

 動揺を隠せず、普段は誰も見向きもしない街頭テレビのニュース映像を見守るフランスの人たちの姿が描かれています。

 対照的に、報道を知らない人たちが普段通りの日常を過ごす姿も描かれています。

 

 日本時間では、この事件の第一報は深夜だったと記憶しています。プロモに映る時計は15:33を刻んでいますので、フランスでは昼間にニュース速報が伝えられたようです。

 

 この事件は、あらゆる国の人たちに大きな衝撃を与えたと感じます。大変恥ずかしながら現代史を勉強不足だった私は、この事件が起きたときに、初めて宗教の違いによる対立、過激な思想を持つ組織の存在を知りました。

 

 

犠牲者が主人公として描かれた反戦歌

 作品の主人公は、マンハッタンの世界貿易センタービルに事務所を持つ企業に勤める男性と、テロ首謀者の身柄を引き渡さない国の判断によって、空爆に襲われたアフガニスタンで生活をする少女のふたりです。

 

 お互いに面識はありませんが、この事件をきっかけに亡くなってしまう犠牲者として描かれています。架空なのか実在した方々だったのかは分かりません。

 

 

 作品では、宗教や兵器の発達や国益の優先などが、市民の生活を脅かす火種を次々と生み出している、という意味合いの歌詞が歌われています。

 

 流行歌の世界では反戦歌という定義がありますが、歌詞で表現される心情からこの作品も該当すると思います。しかし、この作品のように、犠牲となった当事者の視点で、戦争を批判した作品というのはあまり存じ上げません。

 

 反戦歌と言うと、日本では「長崎の鐘」(1949年発売)や「岸壁の母」(1976年)、「島唄」(1993年)などのヒット曲が思い浮かびますが、いずれも最愛の方を無くされた人物の視点で描かれています。

 シベリア抑留を経験した当事者の心理が歌われた「異国の丘」(1948年発売)が、作品が伝えたい心情に近いと感じます。

 

 当事者の視点で描かれる歌詞には、帰らぬ人を偲ぶ悲しみは描かれず、争いを起こす人間の愚かさを非難している心理が理解できます。 

 人間同士で行われた残酷な行為を主題にした作品は、音楽に限らず、絵画や文学の世界でも製作されています。おそらく、同じ気持ちで製作された作品であると感じます。

 

 

報道に心を痛めた音楽家

 大きな事件や事故が起きたとき、チャリティーで企画される作品がありますが、あまり心が動かされる楽曲はありません(^_^;A。しかし、アーティストが自ら進んで表現した作品には心が引き寄せられます。

 

 日本でも、メディアの報道をきっかけにヒットした作品があります。1969年にヒットした新谷のり子さんの「フランシーヌの場合」です。

 新聞の夕刊に掲載された、ベトナム戦争に反対の意志を示すためにフランスで若い女性が焼身自殺したという記事をきっかけに、作品が誕生しています。

 

 おそらく「Manhattan-Kaboul」が誕生したのも、自分が生きている時代に起きた事件、人間が起こした悲しい行為に心を痛めた音楽家の行動がきっかけで共通しているように感じます。

 

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「Manhattan Kaboul」はAマイナー(イ短調)です。

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「you大樹」オリコン

 「Manhattan-Kaboul」CDジャケット

 「バンドプロデューサー5」

「Kamaté」Ora Mate(2007年)

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流行時期(いつ流行った?)

 TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、Ora Matéさんの「Kamaté」は、2007年9月から11月初めにかけて、2ヶ月間ヒットしています。

 

 10月に1週間だけ首位を獲得しています。

 

 

 

注)Ora Mate - トピックの動画

 

 

 

同時期に日本で流行っていた曲(2007年9月~11月初め)

 オリコンランキングでは、桑田佳祐さんの「風の詩を聴かせて」さんの「Happiness」などが首位を獲得しています。

 

 他には、倖田來未さんの「愛のうた」おしりかじり虫さんの「おしりかじり虫」などがヒットしています。

 

 音楽配信が浸透している時代と感じますが、moraの音楽配信ランキングは公開されていないため、どの作品が人気だったかは分かりません。

 

 

ラグビー・フランス代表の応援歌?

 2019年に日本でラグビーのワールドカップが開催された事で、ようやく気付きましたが、2007年にフランスでヒットした「Kamaté」は、ニュージーランド代表のオールブラックスが披露するハカ(Haka)が主題となっています。

 

 ちょうどフランスでラグビーワールドカップが開催されていた期間中にヒットしています。

 

 「Kamaté」が1位を獲得した週は、2019年に日本が、史上初の決勝トーナメント進出を決めたように、フランスの3位決定戦という重要な試合が行われていた時期にあたります。

 

 それまでのフランス代表の戦歴は存じ上げませんが、2019年の日本代表の活躍ぶりや好成績を残した事による盛り上がりを考えると、「Kamaté」は他国の音楽文化を主題にしながらも、実はフランス代表チームの応援歌という意味合いを帯びて、作品に支持が集まったのではないか?と考えられます。

 

 

Kで始まる単語はほとんど無いフランス語

 私はラグビーの知識が無く、フランスのヒットチャートに登場する作品を調べていましたが、当時、突然「Kamaté」が上位にランクインした理由が全く分かりませんでした(^_^;A。

 

 カマテカマテと歌う歌詞の意味が分かりませんでしたので、辞書で調べてみましたが、当然、掲載されていませんでした。

 

 もともと、フランス語には「K」で始まる単語がほとんど存在しません。1600ページ程ある仏和辞典でも、3ページしか掲載されていません。

 

 「K」で始まる単語では、カンガルー、空手、カヤック、キロメートル、着物、キオスク、クラクションなどが頻出単語扱いになっています。海外由来の単語ばかりのようです。

 ちなみにW、X、Y、Zで始まる単語数はもっと少ないです。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「Kamaté」の調性は良く分かりません。GやGm、Cのコードを多く検出していますので、おそらくGマイナー(ト短調)で、途中に同主調のGメジャー(ト長調)に転調しているのかも知れません。

 

 カマテという言葉の響きがどの国の民族音楽か分からず、「この曲は一体何?」と感じていました。

 2007年のラグビーW杯の開催国がフランスだった事で、ニュージーランド代表が披露するハカに、フランスの音楽業界が注目して、作品を製作されたようです。

 

 音楽文化の多様性を積極的に取り入れるお国柄を感じる作品です。

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「you大樹」オリコン

 「Kamaté」CDジャケット

 「バンドプロデューサー5」

「Gangnam Style」PSY(2012年)

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流行時期(いつ流行った?)

 TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、PSYさんの「Gangnam Style」は、2012年9月下旬から2013年2月下旬にかけて、5か月間ヒットしています。

 

 2012年10月に2週間首位を獲得した後、年末年始に再び3週間首位を獲得しています。

 

 

 当時の日本では、少女時代さんやKARAさんといったK-POP歌手の活躍が目立ち始めた時期ですが、「Gangnam Style」はCD化されていません。

 

 日本では「江南スタイル」、読み方は「カンナムスタイル」として広まっているようです。

 アメリカでヒットしている事や、当時のYouTubeの再生回数で歴代1位になった事が話題になっていたように記憶しています。

 

 

同時期に日本で流行っていた曲(2012年9月下旬~2013年2月下旬)

 オリコンランキングでは、特に流行した作品は見当たりませんが、女性アイドルのブームが続いている印象を受けます。

 

 SKE48さんの「キスだって左利き」「チョコの奴隷」AKB48さんの「UZA」「永遠プレッシャー」NMB48さんの「北川謙二」乃木坂46さんの「制服のマネキン」などが首位を獲得しています。

 

 moraの音楽配信ランキングでは、ももいろクローバーZさんの「サラバ、愛しき悲しみたちよ」ゴールデンボンバーさんの「女々しくて」などの作品が首位を獲得しています。

 また、miwaさんの「ヒカリヘ」や、きゃりーぱみゅぱみゅさんの「ファッションモンスター」がロングセラーとなっています。

 

 

 

 


PSY - GANGNAM STYLE (강남스타일) MV

 

 

 

欧米の人たちをとりこにした韓国発のポップス

 「Gangnam Style」がヒットしていた頃、日本では、アメリカでヒットしている事しか報道されていなかったように感じますが、実際はもっと広範囲のヨーロッパ圏やオセアニア圏でもヒットしていました。

 

<「Gangnam Style」の各国のヒットの軌跡> 

最高順位 週数
スペイン 1位 12週
デンマーク 1位 8週
ポルトガル 1位 8週
ブルガリア 1位 8週
カナダ 1位 7週
オーストラリア 1位 6週
ニュージーランド 1位 6週
フランス 1位 6週
ベルギー 1位 5週
フィンランド 1位 4週
ノルウェー 1位 4週
オーストリア 1位 4週
ドイツ 1位 3週
スイス 1位 3週
オランダ 1位 2週
イギリス 1位 1週
アメリカ 2位 7週
スウェーデン 2位 3週
アイルランド 2位 2週

※参考サイト:SNEPランキング(https://acharts.co/song/72155

 このサイトはアジア圏のヒットチャートが掲載されていないため、韓国での流行の推移は分かりません。

 

 

 アメリカだけでなく、ヨーロッパのほとんどの国で人気となった作品とは知りませんでしたので、YouTubeの再生回数が数十億に達したのも納得できます。

 2019年12月現在では、再生回数は34億7千万回に達しています。

 

 

 ちなみに現在の歴代1位はLuis Fonsi(ルイス・フォンシ)さんの「Despacito ft. Daddy Yankee」です。65億6千万回です。

 

 「Gangnam Style」や「Despacito」のように、流行の本流と異なるサウンドを持った作品が大規模な再生回数を記録する背景には、意外性に好奇心を持ってしまう人間心理の現れがあるのかも知れません(^_^;A。

 

 韓国語やスペイン語の作品が、YouTubeで歴代1位の再生回数を達成するのは、やはり情報不足による「もっと知りたい」という好奇心の高まりの裏返しのように感じます。

 今後、同じような流れで、普段はヒットチャートに登場しない国で製作された作品が、世界中で人気になるかも知れません。

 

 

欧米に支持されないアジアの民族音楽

 私は「Gangnam Style」は好きな作品のうちの1つです。しかし、この作品がヒットした時、現代でも、東アジアの音楽は欧米の人たちには理解してもらえないように感じました(>_<)。

 

 それは、“東洋のアーティストが、欧米の流行の音楽に合わせている”という印象を受けたからです。

 楽曲を聴く限り、韓国の民族音楽らしさを感じる部分は全くありません。

 

 

 これは日本の例も同じであると考えています。

 

 かなり古い話になりますが、アジア圏の歌手が西洋で成功した例には、坂本九さんの「上を向いて歩こう」(1961年)があります。1960年代にビルボードのランキング首位を獲得しました。

 

 しかし、その時のタイトルは何故か「スキヤキ」(1963年)となっています。

 

 1963年当時、アメリカの方々が「上を向いて歩こう」をどのように受け止めたのかは分かりませんが、「アジア圏の歌手で面白い作品がある」という好奇心が支持を集めた理由ではないか?と考えています。

 

 

 「上を向いて歩こう」は名曲ですが、日本特有の音楽か?と言うと、そうではありません。

 

 今となっては日本独特の音楽と感じる方が多いかもしれませんが、「上を向いて歩こう」は、流行歌のポップス化のために活躍された方々が生み出された、欧米の価値観を持つ作品です。

 

 そのため、作品の土台には日本固有の音楽性が備わっていない作品と捉えています。

 

 もし、当時人気だった三橋美智也さんや村田英雄さんの作品が、ビルボードで首位を取っていたならば、アジア圏の音楽が評価されたと感じる事ができますが…(^_^;A。

 

 「Gangnam Style」を聴いたときも、「スキヤキ」同様に、東洋の音楽性が感じられませんでした。

 やはり欧米で成功するには、現代でも欧米の音楽を模倣をした作品しか受け入れられないのか?と感じました(>_<)。

 

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「Gangnam Style」はBマイナー(ロ短調)です。

 

 

 

 ヒットのきっかけはYouTubeのようですが、当時のK-POPの流行とは方向性が異なる作品と感じます。

 K-POP歌手というとルックス的には、美男美女の作品が目立ちますが、失礼ながら、PSYさんは中年男性のルックスです。

 

 その姿で、流行の音楽を歌い踊りこなされる姿に、欧米の方々は注目を集めたのかな?と考えます。

 

 日本に置き換えると、松平健さんの「マツケンサンバⅡ」(2004年)に人気が集まった時の心理に近いのかな?と考えています(^_^;A。

 

 しかし、インターネットのおかげで、洋の東西の距離感は近くなっているように感じます。今後、また東洋から面白い作品が誕生する事を、ひそかに期待しています(^^)♪

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「you大樹」オリコン

 「Gangnam Style」CDジャケット

 「バンドプロデューサー5」

「Balance Ton Quoi」Angèle(2019年)

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『BROL』Angèle

流行時期(いつ流行った?)

 TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、Angèleさんの「Balance Ton Quoi」は、2019年3月中旬から9月初旬にかけて、半年近くの間ヒットしています。

 

 連続ではありませんが5週間首位となっています。4月下旬に初めて首位を獲得し、途中で2,3位になる期間もありましたが、6月末に再び首位となっています。

 

 ベスト3にランクインしたのは、4月中旬から7月上旬ですので、この期間が最も流行していたようです。

 

 

 

同時期に日本で流行っていた曲(2019年4月下旬~7月上旬)

 オリコンランキングによると、日向坂46さんの「キュン」がヒットしています。

 

 moraの音楽配信ランキングでは、菅田将暉さんの「まちがいさがし」米津玄師さんの「海の幽霊」RADWIMPSさんの「愛にできることはまだあるかい」が首位を獲得しています。

 

 また、Foorinさんの「パプリカ」や、米津玄師さんの「Lemon」あいみょんさんの「マリーゴールド」がロングセラーとなっています。

 King Gnuさんの「白日」も人気を集めています。

 

 

 


Angèle - Balance Ton Quoi [CLIP OFFICIEL]

 

 

曲調は往年のフレンチポップス

 楽曲自体は、どこかで聴いたことのあるようなフレンチポップスです。

 

 1960年代後半から1970年代初めに人気を集めたシルヴィ・バルタンさんが歌っていた作品と言われても違和感の無い、かわいらしいアイドルポップスを連想してしまいます。

 

 しかしプロモの映像や歌詞は、明らかにアイドルポップスではありません。作品は、男性側が潜在的に抱いている性別による差別意識に対して問題提起した作品のようです。

 

 

 プロモではいくつかの例が挙げられていますが、すべては分かりませんでした(>_<)。

 

 仕事中のセクハラに対して拒絶の姿勢を示す事や、同じ仕事をしていても男性、女性、異なる民族の女性の順で、給与に差がある事が表現されている部分は分かりやすかったです。

 

 日本は男性優位社会で、性差に対する差別意識は世界に比べて遅れている、と見聞きする事があります。

 しかし「Balance Ton Quoi」が、2019年のフランスで支持を集めるという事は、フランスもそれほど進んでいるようには感じられず、意外に感じました(+_+)。

 

 

#MeToo運動から生まれた作品?

 過去に性的暴行を受けた事を勇気を持って告発した被害者の行動に、賛同や支持を表す意味合いで用いられる#MeTooのハッシュタグは、様々な国に広がりました。

 アメリカで2017年に自然的に誕生したようで、日本では2018年の流行語にノミネートしています。

 

 日本では、女性という理由だけで身なりを強制される事に対して#Kutooという独自のハッシュタグが誕生しましたが、2018年のフランスでは、#BalanceTonPorcというハッシュタグが#MeTooと同義で用いられたようです。

 

 おそらくタイトルの「Balance Ton Quoi」は、このハッシュタグから着想を得たのだと推測されます。

 

 フランスの作品ながら、プロモに映る言語が英語になっている点は気になります。もしかすると、Angèleさんはフランス国内の人たちに対して訴えるのではなく、動画を通して他の国の人たちにも作品の意図を伝えたい、と考えられたのかも知れません。

 

 

 この作品のように、世の中の既成の価値観に対して疑問を問いかける作品は、日本でも登場した時代があります。 

 1960年代末のフォークソングブームですが、ベトナム戦争の反戦運動をきっかけに若者のあいだに築かれたプロテストフォークの延長で、岡林信康さんの「山谷ブルース」高石友也さんの「受験生ブルース」といった作品が、後世に語り継がれる作品となっています。

 

 日本では、その時代のみでしか顕在化しませんでしたが、こういった作品が突然登場するフランスには、若者が世の中に対して考えを示す作品が製作し、それを支持する聴き手がいる土壌があるのかな?と感じる作品です。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「Balance Ton Quoi」はFメジャー(ヘ長調)です。

 

 プロモでは途中、討論のシーンが挟まれていますが、会話の内容は分かりません(>_<)。何を話しているのか気になります。 

 #MeToo運動に共感を得た人が参加する討論会と思われるのに、進行役のAngèleさんの発言や表情を見ると、男性2人はどうも趣旨を理解していないまま参加しているような印象を受けます。

 

 

 アルバム『BROL』の歌詞カード最後には、「WOMEN NEED MORE SLEEP THAN MEN BECAUSE FIGHTING THE PATRIARCHY IS EXHAUSTING」とプリントされたTシャツを着ているAngèleさんの写真が印刷されています。

 google翻訳を解釈すると、「家父長制に対して闘うために、女性は男性よりも睡眠が必要。」という意味になるようです。

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「you大樹」オリコン

 『BROL』CDジャケット

 「バンドプロデューサー5」

「Un ange frappe à ma porte」Natasha St-Pier(2006年)

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流行時期(いつ流行った?)

 Natasha St-Pier(ナターシャ・サン=ピエール)さんの「Un ange frappe à ma porte」は2006年にヒットしました。

 

 TOP50(フランスのオリコン的存在)によると、2006年1月から3月にかけてヒットしています。

 

 この作品はTOP50のランキングで初登場6位となっています。その後、順位を上げて2位まで上り詰めています。

 

 フランスのヒット曲ランキングは、昭和の頃のオリコンランキングのように、1つの曲が長期間上位にランクインするスタイルが保たれています。

 初登場でトップテン入りしたナターシャさんは、当時、フランスでは既に人気を獲得していたアーティストと推測されます。

 

 

その頃、日本では…

 年明けの紅白効果もあってか、前年にヒットした修二と彰さんの「青春アミーゴ」レミオロメンさんの「粉雪」が上位に再浮上しています。

 年末に発売されたEXILEさんの「ただ…逢いたくて」もヒットしています。

 

 3月には、湘南乃風さんの「純恋歌」や、この年のレコード大賞に選ばれる氷川きよしさんの「一剣」がランキング上位に登場しています。

 

 

 


Natasha St Pier - Un ange frappe a ma porte (Clip officiel)

 

 

 

日本語が吹き込まれた作品

 この作品の特徴は、“日本語が吹き込まれている事”です。イントロと同時に、また、間奏で述べられるセリフは日本語です。

 

 しかし実際に聴いてみると、意味を成していない日本語です。

 

 おそらく、出会いや別れの時の挨拶を脈絡もなく並べていると考えられますが、残念ながら発音も明確では無く、日本人には伝わらない日本語です。

 

 私は何度聴いても、「オハヨースミマセ。コンニチハーサニトー。ジャアマタネサ。」としか聴こえません(+_+)。

 

 「スミマセ」が「すみません」なのか「~ませ」なのかも分かりませんし、「サニトー」に関しては、日本語の挨拶の何に当てはまるのか全く見当が付きません。

 

 

フランス人が思い描いた日本のイメージ

 この作品は、21世紀のフランス人が日本に対してどのようなイメージを抱いているかの一例として解釈する事も出来るため、興味深い作品です。

 

 プロモ映像でも、おそらく日本をイメージした風景を表現していると思いますが、こちらからすると、明らかに中国と混同されている事が分かります。

 

 日本庭園を意識した舞台のようですが、色彩が日本的ではありません。松や桜?も違和感を抱いてしまいます(^_^;A。

 なにより、日本人のイメージとして登場している方が持っている楽器が何か分かりませんし、その方の化粧も全く日本らしさは感じられません(+o+)。

 

 映像では、何一つ日本的な趣が感じられませんが、やはりアジアの国と言えば、西洋の方々にとっては中国の文化を連想してしまうのかな?と考えさせられます(>_<)。

 

 

 日本は諸外国に国の個性が伝わっていないのかな?と思いますが、2010年代以降は、アニメ人気のおかげで、電線が張り巡らされた日本の街並みは海外の人達にも知れ渡っているようです。

 

 何年か前に、それほどヒットしていませんがプロモで日本のアニメのような風景を再現した作品が登場していました。

 

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「Un ange frappe à ma porte」はE♭マイナー(変ホ短調)です。

 

 音階はヨナ抜き長音階の5音音階を短調にした26抜き短音階のようです。2の音が所々で用いられていますが、覚えやすいメロディの作品です。

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「you大樹」オリコン

 『LES TUBES DU TOP volume6』Carisch Musicom Publications

 「Un ange frappe à ma porte」CDジャケット

 「バンドプロデューサー5」

「Andalouse」Kendji Girac(2014年)

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流行時期(いつ流行った?)

 TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、Kendji Girac(ケンジ・ジラクさんの「Andalouse」は、2014年10月中旬から2015年1月中旬にかけて、3カ月間にわたってヒットしています。

 

 

 年をまたいでヒットしたため、年間ランキングではそれほど順位は高くありませんが、流行した規模ではケンジ・ジラクさんの代表曲となっているようです。

 

 ケンジという名前が日本的ですが、日本にはご縁の無い方です。

 

 

同時期に日本で流行っていた曲(2014年10月中旬~2015年1月中旬)

 オリコンランキングでは、首位を獲得した作品や上位にランクインした作品には、その年を代表する作品は見当たりません。

 

 moraの音楽配信ランキングでは、SEKAI NO OWARIさんの「Dragon Night」がヒットしています。また、秦基博さんの「ひまわりの約束」が徐々に人気を集めています。

 

 

 


Kendji Girac - Andalouse (Clip Officiel)

 

 

フランス語のスペインポップス?

 1990年代後半以降、フランスではスペインのヒット曲が支持されやすくなったと感じます。2000年代には歌詞がスペイン語のヒット曲が多く登場するようになったため、そのように感じます。

 

 それが2010年代になると、歌詞がフランス語で、スペインポップスを連想させる作品が登場するようになりました。

 「Andalouse」は、フランス人っぽくない歌手の名前や、曲を聴いたときの印象で勝手にスペインの作品と思い込んでいましたが、歌詞を調べたときにフランス語だった事に驚きました。

 

 

 この作品がヒットするまでは、単にスペインの作品を輸入したり、フランス人がスペイン語で歌った作品が登場していました。

 やはり国境には公用語や経済による壁があるのかな?と感じていましたが、ついにフランス人がこういった作品を生み出す段階になったのかと、私は少ない知識で解釈しました(^_^;A。

 

 

 フランスのヒットチャートには現在でも、“異なる文化の価値観を理解しようとする姿勢”を感じる作品が登場するため、関心を持っています。

 背景には国旗の自由・平等・友愛の精神が国民の意識に根付いているからではないかと感じてしまいます。移民の受け入れについては、2010年代以降に社会問題化しているようですが、流行音楽においては、その精神が活かされて良い作品が生み出されているように感じます。 

 

 

Baila(バイラ)とは?

 この作品には、ひとつだけ「Baila」というスペイン語が用いられています。和訳すると「踊る」という動詞だったり、「踊り」と名詞で扱われる事がある単語のようです。

 

 スペイン語のヒット曲には必ず含まれていると言っても良いくらい、有名な単語ですので、この単語が出たときにスペインの曲と認識してしまいました。

 歌い始めの掛け声や、サビの部分で何度も登場しています。

 

 おそらく「Andalouse」を作詞された方も、「スペインと言えば“Baila”だろう」、という認識で効果的に用いたのだと考えられます。

 

 ケンジ・ジラクさんは厳密にはスペイン出身の方では無いようですが、作品の世界観がスペイン寄りであると感じます。 

 エキゾチックな雰囲気を持つ作品と感じますが、フランスの人たちも同じように異国の音楽を思わせる曲調を支持されたのだろうと思います。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「Andalouse」はFマイナー(ヘ短調)です。

 

 プロモの冒頭で流れる作品は、ケンジ・ジラクさんのデビュー曲「Color Gitano」です。Gitanoはスペイン語で、和訳すると移民に該当するようです。

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「you大樹」オリコン

 「Andalouse」CDジャケット

 「バンドプロデューサー5」

「I Will Survive (la la la)」Hermes House Band(1998年)

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「I Will Survive (la la la)」Hermes House Band

流行時期(いつ流行った?)

 TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、Hermes House Band(ルメス・ハウス・バンドさんの「I Will Survive (la la la)」は3回ヒットしています。

 

 1度目のヒットは、1997年9月下旬から11月下旬にかけての3か月間。

 2度目のヒットは、1998年7月下旬から9月末にかけての2か月間。

 3度目は、2018年7月末の1週間です。

 

 最もヒットしたのは、2度目の1998年と考えられます。

 

 

同時期に日本で流行っていた曲(1998年7月下旬~9月末)

 ラルク・アン・シエルさんの「HONEY」ポケット・ビスケッツさんの「Power」KinKi Kidsさんの「全部抱きしめて」globeさんの「wanna Be A Dreammaker」モーニング娘。さんの「抱いてHOLD ON ME」などの作品が首位を獲得しています。

 

 

 その他には、MAXさんの「Ride on time」浜崎あゆみさんの「Trust」などがヒットしています。

 

 

 


Hermes House Band - I Will Survive - Lalala

 

 

過去にヒットした作品のカバー曲

 「I Will Survive (la la la)」は、1970年代末に日本でも流行った「恋のサバイバル」のカバー作品です。

 

 1970年代当時は、様々な国でソウルから発展したディスコサウンドが流行していましたが、「恋のサバイバル」はそのうちの1曲です。グロリア・ゲイナーさんが歌っておられましたが、日本では布施明さんが日本語カバー盤も発売されていました。

 

 ヘルメス・ハウス・バンドさんの作品は原曲と異なり、バンドの演奏がにぎやかになっています。聴き手を元気づけるような、応援歌的な編曲で演奏するように心がけているグループのようです。

 

 エルメス・ハウス・バンドさんはオランダの音楽グループで、特にフランスと特別な関係や縁は無かったように思われます。しかし3回ヒットした事を考えると、フランス人にとって意味のある作品である事が想像できます。

 

 「I Will Survive (la la la)」は、フランス人にとって大切な作品に成長したようですが、そのきっかけは1998年に開催されたFIFAワールドカップのようです。

 

 

フランスのワールドカップ優勝お祝いソング

 1998年のワールドカップは、フランスで開催されフランスが初優勝を果たした大会でした。6月から始まり、7月12日の決勝戦で、フランスがブラジルに勝利し、初優勝が決定しています。

 

 フランスの初優勝が決まってから、ヘルメス・ハウス・バンドさんの2度目のヒットが始まります。7月23日付のランキングに突然6位に登場しています。

 

 おそらくフランスの方々にとっては、前年にヒットした「I Will Survive (la la la)」が、ワールドカップで悲願の初優勝を果たした喜びを代弁するかのような意味合いで解釈されたようです。

 

 この作品のヒット以降、ワールドカップ開催年になる度に、サッカーをテーマにした作品が登場するようになります。

 

 私は、選手達が対戦するときの応援歌、選手を称える意味合いのアンセムとして支持を得た作品と思っていましたが、そうではないように感じます。単純にフランス国民が、W杯の初優勝の感動、喜びを分かち合うために選ばれた作品だったようです。

 

 日本に置き換えると、サッカーではなく野球、国ではなく地域単位で規模は小さくなりますが、阪神ファンにとっての「六甲おろし」と同じ価値観を持つ作品であるように感じます。

 

20年後にヒットチャート首位を記録

 この作品が「六甲おろし」と同等の存在と感じた理由は、20年後の2018年に、再びフランスがワールドカップに優勝した時、「I Will Survive (la la la)」が1週間だけ首位を獲得した事です。

 

 20年前の作品が首位を獲得するには、特殊な事情が無ければ達成する事は出来ません。

 

 実は1998年の初優勝の時は3位止まりでした。いくら年月が経っても、フランス人にとって、W杯優勝の感動に心が共感するのは、初優勝時の「I Will Survive (la la la)」なんだと思い知らされた作品です。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「I Will Survive - Lalala」はAマイナー(イ短調)です。

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「you大樹」オリコン

 「I Will Survive - Lalala」CDジャケット

 「バンドプロデューサー5」

「Yakalelo」Nomads(1998年)

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流行時期(いつ流行った?)

 TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、Nomadsさんの「Yakalelo」は、1998年5月下旬から9月中旬にかけて、5か月の間ヒットしています。

 

 首位は獲得できず2位止まりの作品です。7月から8月初めにかけて6週間連続で2位を獲得しています。

 この時の首位になっていたのはManauさんの「La Tribu de Dana」でした。

 

 

 

 「Yakalelo」も「La Tribu de Dana」も、特定の地域で培われて来た民族音楽を連想させる作品です。当時のフランスでは、こういった音楽表現が支持される雰囲気があったようです。

 

 

 

同時期に日本で流行っていた曲(1998年5月下旬~9月中旬)

 日本では、hide with Spread Beaverさんの「ピンクスパイダー」「ever free」the brilliant greenさんの「There will be love there -愛のある場所-」T.M.Revolutionさんの「HOT LIMIT」SPEEDさんの「ALIVE」ラルク・アン・シエルさんの「HONEY」ポケット・ビスケッツさんの「Power」などの作品が首位を獲得しています。

 週替わりでランキングが変化するものの、その年を代表する作品が首位になっている傾向が感じられます。

 

 その他には、モーニング娘。さんの「サマーナイトタウン」Kiroroさんの「未来へ」などがヒットしています。

 

 

 


www.youtube.com

 

 

 

架空のワールドミュージック?

 「Yakalelo」は、ゆかりの無い遠い国の音楽を連想させる作品と感じます。ワールドミュージックであると聴き手に感じさせる世界観を持っていると思いますが、どうも、特定の国の音楽を取り上げた作品ではないようです。

 

 プロモの舞台が砂漠だったり、独特な民族衣装を着飾った人が登場しますが、火をおこす魔術めいた事をする人や、言葉で動物の動きを封じる人がいるような不思議な世界が描かれています。

 

 歌詞に用いられている言語で見ると、歌唱の部分ではスペイン語が用いられているようです。しかし、当時流行していたラップ詞では英語になっており、作品の設定は無国籍な印象を受ける作品です。

 

 

異国に対するあこがれ

 情報の少ない異国に対して、夢のような想像をふくらませる心理はヒット曲の世界では一般的と感じます。

 

 過去にご当地を取り上げてヒットした作品を振り返ってみると、実際に訪れたり有名な観光地を歌詞にした作品がほとんどと思いますが、中には想像だけで描かれた作品がヒットしている事があります。

 

 有名なのは、庄野真代さんの「飛んでイスタンブール」(1978年)でしょうか。歌詞中に砂漠という単語が出てきますが、実際はイスタンブールに砂漠は無いそうです。

 

 古くは菊池章子さんの「星の流れに」(1947年)も、“タバコをふかして口笛を吹く”という事が出来るのか、と冗談交じりで歌詞が解釈された事があるようですが、ヒット曲は感情を自由に表現する場であると考えていますので、歌詞が描く世界が現実に即しているかどうか、たとえ矛盾があっても大した問題ではないと認識しています。

 

 異国に対して想像力だけで作られた作品で重要だと感じるのは、“自分が見知らぬ国や街に対して、あれこれと自分にとって魅力的な街並みを想像する心理”が働いている事です。

 実際は想像通りで無かったとしても、聴き手に共感を与える事が出来る点が興味深いです。

 

 

 「Yakalelo」は、フランスでワールドミュージックが人気になりつつあった時期にヒットしていますが、架空の国を想像して製作された作品のようです。

 

 フランス人が知らない国、そういった異国に対して思い描くイメージをこの作品が表現できていたために支持が集まったと考えられます。 

 独特の世界観を持つ作品を生み出した発想力はすごいと感じます。

 

 

 タイトルは「ヤカレロ」と読みますが、カタカナ4文字の作品ですので、Los del Rio(ロス・デル・リオ)さんの「Macarena(恋のマカレナ)」(1996年)から連想されたのかな?と考えたりしています。

 

 

楽曲分析

  「バンドプロデューサー5」の分析では、「Yakalelo」はDマイナー(ニ短調)です。 

 

 

参考資料

 TOP50(http://www.chartsinfrance.net/

 「you大樹」オリコン

 「Yakalelo」CDジャケット

 「バンドプロデューサー5」